158部分:第十話 心の波その十六
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うですが」
「それでも。そのしたたかさがですが」
「そのことは忘れてはならないでしょう」
ワーグナーを侮っていなかった。決してだ。
だからこそだった。総監は慎重な口調でだ。同志達に話すのだった。
「そしてそのうえで、です」
「策を巡らしそして」
「陛下から引き離す」
「最後にはこのバイエルンからも」
「このままではです」
首相もここで言った。
「我が国の財政に支障をきたします」
「ですね。あれではです」
「あのローラ=モンテスと同じです」
「全くです」
「寵愛を受けてそれをいいことにしていることはです」
同じだとだ。男爵と総監も同じ見方だった。彼等にしてはそのことが問題だった。バイエルンの財政の問題は国家の問題そのものだからだ。
それを話してだった。彼等は。
さらに話す。そしてだった。また首相が言うのだった。
「しかも素行はローラ=モンテスより問題がある」
「弟子の妻だけでなく舞台の踊り娘達にも手をつけているとか」
「そうした者をバイエルンで好き勝手にさせては」
「我が国の誇りにも関わります」
「他国からもどう思われるか」
体面もだ。気にしてだった。
そんな話をしてだ。彼等は今は仕組んでいた。そしてそれはだ。王とワーグナーの仲をだ。決定的に壊そうとしていたのであった。
第十話 完
2011・2・7
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