魔王山
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、訓練なるわけだ、と私は思った。
──と、私は足を止めた。
危ない……。
ほっ、と息をつく。
霧で見え辛くなっているが、数メートル先は崖だった。
私は、汗を拭い、道を曲がった。
腕試しと訓練以外で登る理由がない場所なので、道もほとんど整備されておらず、崖も多い。
ネモから受け取った地図を確認する。
これは、彼が、以前に頂上に登った時に作り、ルートを記したものだと聞いていた。
真の強者は、自ら登る道を探り当て、あるいは険しい崖さえも登り、頂上を目指すのだという。
それを聞いていたので、私は、最初、地図の携帯を断った。
だが、彼はそれを許さなかった。
「お前の身は、魔王様よりお預かりしている。勝手に死なれては責任問題になる」
結局、それなのか。
この人には、自身の気持ちよりも、魔王の命令の方が大事なのだろう。
「地図を持っていかないのなら、魔王山に挑むことは許可できない」
そう言われては、断ることはできなかった。
前回、彼もこの地図を見て、ルートを決めていた。
私は、その後ろをついて進んだだけである。
今、1人で進むと、この山の危険さを、改めて認識する。
私が、地図とコンパスなしで、手探りで進もうものなら、道に迷った拍子に、崖から転落していてもおかしくはないと思えた。
なだらかな道の先に現れたのは、殆ど壁のような崖。
地図上のルートでは、ここを登ることになっている
出っ張った石に手を掛けながら、なんとかよじ登り、次の道に出る。
地図通りに進むルートも、決して楽ではない。
登る前は、わざと地図から外れた、険しい道を選んでやろうかとも思っていたのだが、自分には無理だろうということを、思い知る。
地図に沿って進んでも、単身で頂上まで辿り着けば、ネモを驚かすには充分なはずだと、私は思いなおすことにした。
まだ、先は長そうだ。
私は、気を引き締めて進んだ。
「ふう……」
見覚えのある景色が見えた。
前回、ネモと訪れて、引き返した場所だった。
あの時は、ここに着いた時、私はヘトヘトだったはずだ。
少々疲労してはいるが、まだまだ歩けることを確認する。
前とは違う自分を確信して、希望が湧いてきた。
意気揚々と、前に踏み出そうとしたその時、前方から近づいてくる、何かの気配がした。
私は、気配のする方に注意を向け、ショートソードに手を掛けた。
霧のせいで、まだ姿ははっきりと捉えられない。
だが、シルエットから、それが、人ではなく、獣のようだということは、わかった。
ここに来るまでに、青い狼3匹、紫の猪1匹に遭遇し、なんとかやり過ごすことができている。
どれも、私が住んでいた土地では目にしたことがない見た目をしていたが、訓練の成
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