71.気付かないよりは気付いた方が良い。例え手遅れでも…
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力を借り受けて生み出された稲妻は、ミルドラースの額の瞳に突き刺さったドラゴンの杖目掛け迸る!
…それがトドメだった。
ミルドラースの身体を強力な稲妻が突き抜き、ミルドラースは力無く倒れ崩れる。
「…バ、バカな…我は…か、神を…も…超える…そ…ん…ざ…」
・
・
・
ミルドラースの身体が塵へと還り、跡には1本の杖が佇んでいる。
僕はドラゴンの杖を掴み胸が苦しくなった。
僕が諦めなければ…僕が怯まなければ…お父さんは…
お父さん………お父さん……
(パチパチパチ)
「いやぁ〜…さっすが伝説の勇者!見事だね!」
!?
この場にそぐわない緊張感の欠落した声が拍手と共に響き渡る。
幻聴か!?
心が望むあまり幻聴が聞こえたのか?
僕はゆっくり振り返る…
そこには優しい表情で胡座をかいているお父さんが居た!!
驚きと嬉しさと不思議さとで混乱している僕等に、マーサ様が申し訳なさそうに説明してくれた。
「皆さんを騙す様な事をしてごめんなさい。ミルドラースとの戦闘直前にリュカから言われて…」
お父さんが!?
「『万が一戦う事を諦めてしまったら、僕は死んだフリをするから、母さんも話し合わせてね』って」
死んだフリ!!
「リューくーん!!良かった!!!生きてて良かった!! (エ〜ン)」
「お父さ〜ん!私…私… (グスッ)」
スノウとポピーが泣きながらお父さんに抱き付いた。
「馬鹿者!!この、馬鹿者!!二度とこんな真似はするな!!」
あのピエールが人目を憚らずお父さんに抱き付き泣いている。
お父さんは立ち上がりお母さんにキスをする。
「ビアンカは泣いてくれないのかな?」
「わ、私は…知ってたわ… (ヒック)アナタが私達を見捨てない事を (ヒック)」
肩を振るわせ泣くお母さんを抱き締め、お父さんは僕を手招きする。
「お、お父さん…ごめんなさい… (グスッ)」
僕はお父さんに近付きながら、嬉しさと後悔と謝罪の気持ちで泣いていた。
「何を謝る事がある?立派に魔王を倒したじゃないか!」
「お父さんが (グスッ)諦めちゃダメって言っていたのに (グスッ)…僕は (グスッ)諦めちゃったんだ」
「(クス)泣く必要は無い!ティミーは悪くないよ。こんな面倒事を子供に押し付ける大人が悪いんだ!」
お父さんは僕の頭をグシャグシャに撫で、優しく励ましてくれる。
「だから、最初からこうなるって思ってたんだ!」
え?
最初から!?
「ティミーやみんなが諦めちゃう事を念頭に置いていたのさ!」
「で、ではリュカ様は最初から我々が挫けるとお考えでしたんですか!?」
「悪いねピピン!全く持ってその通り!しかもさ、天空の剣にさ、あんな力があるなんて知らなかったしぃ〜」
みんないつもの呆れ顔に戻っちゃた。
「
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