第二章
第25話 帰還と再会
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というか、カナが最年少だったんだな。ちょっと意外だよ」
「あら! そんなに老けて見えるの?」
そうじゃないけど、見かけがどことなく和風で落ち着いているからね。
ふう……全員終わった。
と思ったら、エイミーは「次はクロよ」などと言い出し、今度はクロの前に列を作りだした。
クロが状況を理解しているのかどうかは不明だが、おとなしく抱きしめられているようである。
曜日の感覚などはとっくになくなっていたのだが、今日は土曜日だった。
なるほど。孤児院は休みだからみんな来られたということか。
だが、なぜ来た?
……と思ったところで、背後に気配を感じた。
国王だ。
ちょうど、部屋の前の廊下を歩いてきたところだったようだ。
「お、イチジョウのところの孤児院のみんなか。着いていたのだな。久しぶりだ。よく来てくれた」
「陛下! お久しぶりです。さっき着いたところです!」
エイミーをはじめ、それぞれから国王への挨拶が飛んでいる。
国王は、孤児院の子供たちと面識があったようだ。
町長は国王にも剣術を教えていたららしいから、町長つながりで会ったことがあるのだろう。
「ん? 何かやっていたのか?」
「一人ずつリクとクロを抱きしめていたところです!」
「ほう。では余もやらせてもらおうかな」
「どうぞ!」
「ああ、悪いな」
なぜ勝手にオーケーを出すのか。
「リク、今回は世話になったな。無事に帰ってきてくれて嬉しい」
「いえいえ。生きていてよかったですよ。俺も、陛下も」
これは本当にそう思う。
国王はクロのところにも向かい、抱擁している。
「おい、エイミー。そろそろ今日なぜ来たのかを教えてくれ」
気になっていたことを、再度問う。
本来は職員のカイルに聞くべきなのだが、まだ完全に泣きやんでいないので指名は避けた。
「孤児院にものすごい寄付をくれたでしょ? そのお礼のあいさつよ!」
ああ、なるほど。
すっかり忘れていた。
「そうか。どういたしまして、かな。でも、もしかして、みんなこのためだけに来たとか?」
「そうよ? でも今日すぐには帰らないわ。リクと一緒に寝るんで全員ここに泊まる予定よ。ねえ? 陛下」
「ああ、イチジョウから話は聞いている。準備はさせてあるぞ?」
「ま、マジですか……」
俺、今日は寝させてもらえるのだろうか。徹夜あけなのだが。
すでに嫌な予感しかしない。
「……じゃあみんな、このあと俺とクロは城の人との打ち合わせがあるんで。終わったらまたここに戻って来るよ」
「いってらっしゃい! 私たちはお城の見学してるわ」
結局、仮眠もできなかった。
眠い。
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