第二章
第25話 帰還と再会
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報告書は爺に預ければ渡してもらえるかな? と思っていたのだが……。
俺が直接渡したほうが国王が喜ぶとのことで、単身突撃することになった。
国王の執務室には、初めて入った。
広さはさほどでもないようだ。
壁には絵画があり、机や椅子、その他家具もアンティーク調で、天井にはロウソクを沢山立てるタイプの照明がぶら下がっている。
どれも古そうなので、先代国王が使っていたものをそのまま使っているのだろう。
「おい、リク……。なんだこれは」
国王が呆然とした表情で、俺の書いた報告書を眺めている。
「あれ? おかしいですか?」
「いや、報告書の体裁はまったくおかしくないのだが」
「?」
「お前、いつもこんな字を書いているのか。下手すぎる」
「あー……すみません。それが精一杯です。いつもはもっと下手かと思います」
「……」
パソコンがあるので手書きをする機会がほとんどないせいか、ずっと下手なままだ。
冠婚葬祭の芳名帳で恥をかかないことがない。
「お前、顔はなかなか端正なのに字は醜いのだな」
「申し訳ありません…………が、顔は関係ないかと」
「ははは、そうだな」
爺と同じようなことを言わないでほしい。
「もしかして、書き直しでしょうか?」
「いいや、命の恩人が睡眠時間を削って書いたものを突き返したりはせぬ。読めなくはないし、書いてくれた内容はこの国にとって貴重な情報となるだろう。余と部下一同で読ませてもらう。ありがとう、リク」
「ありがとうございます。でも寝る時間を削ってって、よくわかりましたね」
「ああ。どうせお前のことだ。書き方がわからず教わるところから始めたのではないか? それだと寝る時間までには終わらないだろ」
思いっきりバレている。
まあ……報告書の書き方以前に、文の書き方すらよくわかっているとは言い難い。仮に報告書の書き方を知っていたとしても徹夜だっただろう。
卒論でさえもコピペを軸に進めていた俺に死角はない。
ちなみに、提出した報告書の内容については、大きく二つに分かれている。
前半は、遺跡自体についてのこと。後半は、暗殺未遂事件についての考察になっている。
前半部分はあの遺跡――さいたまスーパーアリーナについて、自分が知っていることや、このまま発掘が進めばどのようなモノの出土が期待できるかなどを、細かく書いた。
「書け」と直接求められていたわけではないが、今回の事件の性格を考えると、書かないわけにはいかない。
後半部分は、事件の概要と、暗殺者及びそのバックにいるであろう団体について、現段階で推測できることを書いている。
拳銃についても触れざるをえないので、知る限りを書いた。
無事に報告書は出
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