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レーヴァティン
第七十二話 大商人その六

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「気遣いは有り難いけれどな」
「ただやけどええの」
「ただでもな」
「そうか、ほなお互い今からな」
「話をしような」
「そうしよな」
 女は久志に応えて自分の席に座った、部屋はかなり広く椅子の数も多く十二人全員が座れた。それでだった。
 女は自分の席に座ってだ、久志に尋ねた。
「それでや」
「ああ、実はな」
「あんた等うち等と一緒やろ」
「外の世界から来た人間だぜ」
 久志は女にこのことを話した。
「そしてあんたもだろ」
「そやで、寝てこっちの世界に来てな」
「起きたらだな」
「日本の神戸におるで」
 この街にというのだ。
「それで大学生やってるわ」
「その大学は八条大学だよな」
「その通りや」
 まさにとだ、女は久志に明るく笑って答えた。見ればその背は夕子よりも小柄で一四〇もない位である。着ている服は動きやすい感じでスカートではなくズボンだ。ズボンは黒でブーツも同じ色で上着は緑ですぐにも旅に行ける感じである。
「ということはや」
「俺達もだよ」
「皆八条大学やねんな」
「そこも同じってことだな」
「けったいやな、ほんま」
「この世界に来るだけじゃないからな」
「ほんまにな、しかしな」 
 ここで女はまた言った。
「こっちの世界ではな」
「ああ、言われてるだろ」
「この島ひいてはこの世界を救う十二人の一人ってな」
「世界を救う剣を持つ奴と一緒に戦ってな」
「それであんたがやな」
 女は久志自身を見て言った。
「そのやな」
「ああ、剣を抜いたな」
「この島、この世界を救う言うなら救世主やな」
「そう言われたのははじめてだな」
「救世主はかいな」
「ああ、ただこの島を救うってな」
 言われているだけだというのだ。
「デルフォイの方でな」
「成程な、それでや」
「ああ、こっちの世界でな」
「今十二人全員集めようとしてるんやな」
「それで今十人集めてな」
「残り二人」
「それでその残り二人のうち一人がな」
 久志は女を観つつ彼女自身に話した。
「他ならないな」
「うちやな」
「そうなるんだよ」
「わかったわ」
「それじゃあ返事はどうだよ」
「行くでと言いたいとこやけどな」
 それがとだ、女は久志に話した。
「ちょっと待ってくれるか」
「何かあるんだな」
「この店のことや」
 これがあるとだ、女は久志に答えて話した。
「それでや」
「ああ、自分がいなくなっても店が経営出来る様にか」
「前々から手配はしてたけれどな」
「それでもやることがあるんだな」
「何かと引き継ぎや申し渡しをせなあかん」 
 このことがあるというのだ。
「それでや」
「今はか」
「少し待ってくれるか」
「ああ、いいぜ」
 久志は女の言葉に笑って答えた。
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