第二章
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「わしが止めることでないさ」
「そうなんだね」
「うん、ただリリィがどうにかしたいと思ったら」
その猫舌をというのだ。
「その時はね」
「なおせばいいのね」
「リリィがそうしたいならね」
「そうなんだ」
「それでリリィはどうしたんだい?」
「どうしても熱いものは苦手だから」
スープはようやく冷えた、それでだ。
リリィはそのスープを飲んでいった、冷えたそれを。そうしつつ資産家に対して言った。
「変えないかな、ただ」
「ただ?」
「お義父さんに何かあってね」
自分を引き取って大事に育てている彼がというのだ。
「それで私が歩いものを食べればお義父さんが助かるなら」
「その時はなんだね」
「うん、頑張って熱いものを食べるから」
「ははは、そんなことはしなくていいよ」
資産家は義理の娘の今の言葉に笑って答えた。
「別に」
「いいの?」
「言ったね。それはリリィだけのことだから」
熱いものが食べられないことはというのだ。
「だからね」
「いいのね」
「ああ、それよりも」
リリィに優しい言葉でこうも告げた。
「リリィは人の迷惑にならない様にしていいところをどんどん伸ばしていくんだ」
「そうしていっていいのね」
「よく短気とか我儘とか言われるね」
「あとお調子者ってね」
「自分でわかっているならね」
それならというのだ。
「そうしたところをなおしてね」
「それでいいところをなのね」
「伸ばしていくんだよ」
「それじゃあ」
リリィは義父の言葉に頷いた、そうして少しずつでもだった。
そうした短所をなおす様にして長所は伸ばす様にしていった、そのうえで成長していってやがて有名なアスリートとなったが。
リリィはオリンピックで金メダルを取った時にこう言った。
「このメダルお義父さんにあげるよ」
「その方にですか」
「差し上げますか」
「うん、私を引き取って育ててくれて」
そしてというのだ。
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