暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
44話:保育園
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に自分の名を刻んだりするのです。もはやいつ大事故が起きてもおかしくありません。動物相手の方が、まだ予測がつくでしょう。いずれ一番面子が潰れる方々の尻に火が付くでしょうが、ここは野生児の集まった保育園といった有様です。私の能力や、個人の努力の範疇をすでに越えているかと」

ワレンコフ補佐官に借りを作るのは不本意だが、大事故でも起こればこの案件に10年近く俺の時間を取られることになる。まだ戦略的に意味があるなら我慢も出来るが、軍事の素人でも、アルテナ星域に要塞を造っても国防に寄与しない事がわかる。イゼルローン要塞は人類史に残る偉業だが、このガイエスブルク要塞は人類史に残る無駄な事業として名を遺すに違いない。

「それは分かっている。資源価格の高止まりで、我々フェザーンにも悪影響が出始めている。不毛な事業はなるべく早く済ませたい。それでな、ルビンスキー君。ある筋から出た話なのだが、そもそも使うか分からないものをまともに造る必要があるのか?外側だけそれなりに見れれば、中身がゴミだろうとどうせ気づかないのではという話が一部から出ている。君はどう思うかね?」

手抜き工事を補佐官が勧めてくる?本国ではそこまで大事に捉えられているのか。正直、頭が痛い。形だけ整えれば、あのボンボンどもは満足するだろうが、手抜き工事をしたことが発覚した場合、俺は責任者として詰め腹を切ることになりはしないのか?

「君の心配する所はよくわかる。だが、ガイエスブルク要塞が実際に使われる場合、帝国政府に対しての叛乱か、恫喝かだろう。せっかく建設の旗振り役を得られたのだ、意図的に弱点なり攻略手法を整えておけば、いざという時、高く売れるしガイエスブルク要塞に籠った連中が優勢なら黙っておけばいいだけだと私は思うが?君はどう思うかね?」

「確かに補佐官のおっしゃる通りですが、ガイエスブルク要塞の建設には私の名前も残ります。それを思うと......」

俺の言葉を最後まで聞かずにワレンコフ補佐官は笑い出した。

「ルビンスキー君、君の名前は1兆帝国マルク位の価値があるのかな?君は確かに優秀だが、歴史家から見れば、まだ使い走りの年代だ。君の仕事としての評価はされないよ。精々自治領主閣下の遠望を果たす歯車のひとつという所だろうね」

「承知しております。気概の問題をお話しておりました。ただ、おっしゃる通り、まともに対応する意味がない案件であることは事実です。ご指摘ありがとうございます」

確かに、煩わしい事が多すぎて、せめて名誉くらいは確保したいと思っていた自分がいた。利益を出せねば、そもそもフェザーンに戻っても顔が立たない。俺の時間を最低でも5年は使うのだ。フェザーンの感覚では5年も使って利益を出せなければ無能の烙印を押される。ここはフェザーン流を貫かせてもらおう。長距離
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