フェアラートの名
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を曲げるつもりはないと――それはそれで、見事といってもいいほどのフェアラートの血筋を継いでいる――だが、リアナにとっては困った話であった。
別段娘とライバル企業の提携が目的ではない。
目的は、娘を軍から離すことなのだ。
それであれば、例えどんな形であっても構わない。
だからこそ、夫に紹介を依頼していたのだ。
……いくら問題ないからといって、これ以上に提携企業は失いたくないから。
ところが、夫もまた生真面目な性格が災いして、紹介という言葉に、真剣になり過ぎてはいるようだ。
例えいたとしても、何かしら問題を見つけて言葉にすることはない。
それが。
「何もない」
と、戸惑う様子は実に珍しい様子。
少なくともそれをネタにして、からかえばどれほど面白いか。
だが、それ以上に、否定しない夫の姿に珍しさを覚える。
「では、今度の休みにはアース社の社長をお呼びしてよろしいでしょうか」
「いいが。ライナがどう思うかわからんぞ」
「でしょう。だからこそ、お尋ねします。次の休みにお連れします方はおりませんか?」
「……」
ぐぅと言葉にならない息をアロンソは漏らした。
今まで見なかった様子に、リアナは小さく目を開いて、微苦笑する。
わかりやすいと。
「聞いてみるが、来るかどうかはわからんぞ」
「あら、フェアラートの名前でもだめですか」
「それは出さない方がいいだろう。彼は……」
小さく、咳払いをして――真剣な表情でリアナに視線を向けた。
「正直なところ、名誉など一切考えていない。ただ生き急いでいる。私はそう思う」
そんな表情に、リアナは小さく笑った。
「そうであれば、娘にとっては良い相手かもしれませんね」
「だから、嫌なのだ」
渋い顔で、アロンソは口にした。
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