第三十八話 怪獣・補完
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、辛うじて人間っぽいモノが出てきた。
過去にデストロイアの戦いの後、ゴジラから吐き出された件を知る者ならば分かった。
形がもう本当にないに等しいが、椎堂ツムグだと。
それから、1ヵ月後……。
「……。」
「何か言うことは?」
「………結局、死なせてもらえなかった、なぁ……。」
ツムグは崩れかけてる両手で顔を覆いながら悲しそうに言った。
ちなみにまだ全身は再生していない。なんとか残ってた上半身のが先に再生してきたが、皮膚も肉も溶けかけのかなりエグイ姿である。ゴジラのメルトダウンを抑えた時のように再生力が衰えているらしい。たぶん、時間が経てば再生力は回復するだろう。
ツムグの望みは叶わなかった。
ゴジラに溶けて死ぬこと。それしか死ぬ方法がないと判断したツムグは、それを決行するために初号機を利用し、ゴジラに取りつくタイミングを作った。
だが、ゴジラに拒絶され、またも吐きだされてしまった。
「なんで許してくれないんだろう……。死にたいだけなのに……。」
「死ねなかった早々申し訳ないけれど、今、何が起こっているのか教えてもらえるかしら?」
波川がわざと無遠慮に聞いた。遠慮して聞かなかったとしてもいずれは聞かなきゃならなしい、とにかく今は状況確認を一刻も早く行わなければならなかったからだ。
ツムグは、両手をだらりと下ろし、濁った眼を波川に向けた。
「怪獣達は…、ゴジラさんの中に補完されてたんだよ。それが解放された、それだけだよ。」
「ゴジラが怪獣達を?」
「セカンドインパクトでゴジラさん以外の怪獣達が、LCLってスープになってたんだ。そこにあった魂は、ゴジラさんが全部取り込んでたんだ。ゴジラさんは、完全に無意識だったみたいだけど。あれだ、ATフィールドぶち破ったり、生命力が上がってたり、何より強くなってたのって怪獣達の魂があったからだったんだよね。ま、魂があってもなくても強くなったことには変わりないんだけど。」
ゴジラは、南極でLCLを飲んだ際に、一緒に怪獣達の魂を取り込んでいたらしい。
そのことをゴジラは、全く自覚せず、今日まできたのだった。
「あなたはそれを知っていたんですか?」
「んーん、溶けかけた時に初めて知った。」
「セカンドインパクトを発生させたエネルギーごと吸い込んでいたというわけね?」
「ま、そういうこと。それを吐きだして復活させられたのは、知恵の実と生命の実のおかげだね。」
「それは尾崎少尉からの証言で聞きました。ゴジラがそれを食べたと。」
「実のエネルギーを全部使ったから、ゴジラさんの中で実が萎んじゃってんだよね。なんかもう力ないよ? 手に入れたくても、もう無理だよ。」
ツムグ曰く、
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