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ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)
第三十七話  デストロイア
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がっていた。

『まだ終わりじゃない。』

 そこに、場違いな明るい声が響く。
『終わらせやしない。』
 機龍フィアが初号機・デストロイアに突撃していく。
 初号機・デストロイアは、それに気づいて足を上げ踏みつぶそうとしたが、逆に足を伝って機龍フィアが昇り、腹部に辿り着いた。
『ゴジラさん。それで、いいの?』
 初号機・デストロイアの腹部にある口部に、機龍フィアの両手のドリルが突き刺さり採掘するように掘り進んでいく。抉られた初号機・デストロイアの細胞が波打ち、機龍フィアを巻き込み取り込むように動き出す。
『リミッター解除、7っ!!』
 ツムグは、すべてのリミッターを解除した。
 機龍フィアの目が、関節などが激しく発光し始めた。
『ゴジラさん。本当に……、それでいいの?』

 機龍フィアの姿がやがて初号機・デストロイアの中に飲まれた。





***





 ゴジラは、眠っていた。
 あまりの心地よさに、あまりの心地よい温かさに。
 自分の世界は、常に壮絶な冷たさと熱に侵されている。それが一切ない、まるで生まれる前の胎児が母親の羊水の中を漂っているかのような心地よさがゴジラを浸食していた。
 ゴジラは、忘れかけていた。
 己の存在理由を。
 己が何を憎んでいたのかを。
 何に怒り、破壊を行ってきたのかを。
 黒い月。それは、使徒以外のすべての生命体の祖となったリリスが乗ってきたもの。
 そんな場所の居心地の良さは、大きな罪で歪められたとはいえ、生命の一つであるゴジラにも耐え難いものであった。
 ああ、このままこの場所で溶けてしまおうかという思いがゴジラに湧きあがっていた。
 現に溶け始めているのだが…。

「それで……、いいの?」

 そこに不快な声が聞こえて来た。
 その声の主のことをゴジラは、思い出せなくなっていた。
「本当に? それでいいの?」
 ゴジラは、無視を決め込んだ。
「無視しちゃって…、聞こえてるくせに。」
 無視する。
「本当にいいの? このままだとゴジラさんじゃなくて、デストロイア?が世界を壊すんだよ?」
 無視する。
「ゴジラ・ジュニアを殺した奴にそっくりの奴に、ゴジラさんのやろうとしてきたことが奪われるんだよ?」
 無視…する。
「ゴジラさんは、何のために今まで戦ってきたの? 殺してきたの? 本当にそれでいいの? このままここにいたいの?」
 無視……。
「………結局、ゴジラさんもその程度か。」

 ブチリッ

 何かが切れた音がした。
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