第三十七話 デストロイア
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『援護しようか?』
そこにツムグの声が響いた。
モニターを見ると、機龍フィアが第三新東京の大穴の近くに立っていた。無傷である。
「っ、てめぇ…、今まで散々何もしなかったくせによぉ。」
『今動けるのは俺くらいしかいないよ。必要ないなら別に…。』
「誰がそんなこと言った、ああん!? こんなことになったのはおめーに原因があるって自覚あんのか!?」
『あるよ。こうなることは想定してたし。それで、援護は必要? いらない?』
「……いるに決まってるだろうが。」
『そうこなくっちゃ。』
通信機の向こうでツムグが笑った気配があった。
この非常事態を起こしたのは、椎堂ツムグだ。それは分かっている。
だがツムグの力を借りなければ状況を打開できないのは事実。
ツムグが何を考え、何をしようとしているのかは置いておくしかない。とにかく初号機を止めるためには手段は選んでいられない状況なのだ。やるしかない。
機龍フィアが、ジェットを吹かし、舞い上がった。
そして初号機の前に回り込む。すると初号機の目が機龍フィアを捉えた。
『な〜に〜?』
『邪魔しに来たんだよ〜。』
巨大化した初号機の威圧感に臆さず、ツムグが気楽に答えた。
『何する気? 僕に勝てると思ってるの?』
『勝つか負けるかは、キミが決めることじゃないよ。』
『ツムグ、どうするの?』
『とりあえず殴る。』
次の瞬間、残像を残すほどの速度で動いた機龍フィアの体当たりを顔面に受けた初号機は、思いっきり後ろにのけ反った。
『あ、殴るじゃなくて、これじゃ体当たりか。アハハハ。』
『ツムグー、笑うところじゃないよ。』
『いっっっったぁぁぁぁぁぁぁ! 何するんだ!』
顔面を手で押さえて怒った初号機が腕を振るって機龍フィアを叩き落そうとした。だがそれを軽々と躱す。
イスラフェルや、サキエルとか、ゼルエルなどの腕も攻撃に加わるがそれもすべて躱す。
『なんで当たらないんだーーー!!』
『だってキミの思考、丸分かりなんだもん。しかもデカくなってるぶん大ぶりになってるしね。』
『んなっ…!?』
初号機は言われて驚愕したリアクションを取った。
そして轟天号の中の船員達もびっくりした。(※オープン回線)
ツムグにとって神に等しき存在と化した初号機の思考など手に取るようにわかることらしい。
『そ、そんなわけ…。』
『そんなわけあるから困るんだよなぁ。』
ツムグは、クックックッと笑いながら言った。
『う…。』
ツムグの得体の知れなさと不気味さに、神に等しき存在になったはずの初号機ですらたじろいていた。
ツムグの気味の悪さは、神をも嫌悪させるのかと、逆にびっくり
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