第三十七話 デストロイア
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巨大化した初号機が浮かび上がり、人々から心を消し去る光をばらまきながら笑い声をあげていた。
「世界中に甚大な被害が広がっています!」
「このままでは…。」
「くそっ!」
轟天号の武装では、初号機に傷一つ付けられない。
このまま、初号機によるフォースインパクトを黙って見ていることしかできないのかと轟天号内で絶望の色が広がり始めた。
「っ……。」
尾崎は目の前の計器を殴って、俯いていた。
「尾崎、おまえのせいじゃねぇ。」
「でも…。」
「あの野郎が勝手にやったことだ。…しかしまさか人間の心を消すって方法に打って出るとはな。しかもエネルギーを無尽蔵に吸収して巨大化しやがる。ゴジラの熱線を吸収にするようじゃこっちの武装じゃ打つ手がねぇ。肝心のゴジラも野郎に喰われちまうし…。」
そうゴジラが初号機に丸呑みにされたのは、轟天号からも見えた。
中から突き破ってくる様子もない。ゴジラを丸呑みにした初号機の下半身の黒い月の影響だろうか。使徒レリエルのように内部から破壊できないのだろうか。中の様子を知ろうにも無理だ。
なんとか状況を打開する手立てはないかと考える。
ゴジラが動けない今、何か手は…。
「ロンギヌスの槍はどうした?」
ゴードンがふと思いついて言った。
すぐに周囲を調べると、大きく空いた第三新東京の端に斜めに刺さっていた。
なおコピーの方は折れて残骸になって散らばっている。初号機が第三新東京の特殊装甲板を破壊した時に破壊されたのだろう。
「あれは確かリリスとアダムの活動を止める保安装置だったな。だったら…。」
「そうか! それなら初号機の動きも止められるかもしれないと!」
副艦長が言った。
だがしかしと、ゴードンは、拳を握った。
問題なのはロンギヌスの槍がある場所だ。
浮遊している初号機のほぼ下にある。接触するかしないかギリギリの位置だ。
つまりかなり接近しないと届かないのだ。
ついでに言うとロンギヌスの槍を回収するにはやはり…。
「尾崎を単体で行かせるわけには…いかないですよね。」
「行かせたら忽ち初号機に喰われるに決まってるだろうが。」
なにせ初号機は、尾崎に執着している。行かせたら真っ先に狙われるのは目に見えている。
尾崎がロンギヌスの槍を使えることは分かっているが、その肝心の尾崎がやられてしまったらお終いだ。
かと言って轟天号で近寄ったとして、相手はすでに数百メートルはあろうかという巨大さだ。下手に近づけば無残に叩き落されるか撃墜されるかだろう。とにかく近寄れない。近寄ることができない。
「…俺、行きます。」
「ダメだ。行かせられねぇ。」
「ですが!」
「おまえがやられたら終いだ!」
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