第三十六話 サードインパクト
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特な鬼のような面構えに一本角。
その容貌は、初号機そのものだった。
しかし体の方は……。
「な、なんだあれは!?」
「あれは、使徒!? 今まで現れた使徒なのか!?」
これまで出現して、倒されてきた使徒と思われる形が歪に形成され、初号機の頭部を頂点に、手足、胴体に他の使徒が生えているような異形の姿になっていった。なお、その中にはカヲルの姿だけはなかった。
『アハハハハハハハハハハハハハハハハ!』
初号機の口が開き、幼い男の子のような声で笑い始めた。
『ついに、やった! やったよ! お兄ちゃん! やったよ! やっと復活できた!』
初号機は、歪な両腕を振り上げて歓喜していた。
「やれやれ、やっとか…。」
『ツムグ…、どうして?』
「……。」
ふぃあの不安げな問いかけに、ツムグは答えなかった。
「あれは、碇ユイじゃない…。」
「ならば、一体何者なんだね?」
「分かりませんわ…。」
冬月の問いに、初号機の意思の存在を知らなかったリツコは、ただそう答えるしかできなかった。
「初号機はリリスを……。止められなかったのね。」
リリスの警護にまわっていた地球防衛軍の部隊の生存は絶望的だろう。なにせ何の連絡もないからだ。
結局、初号機がリリスに接触するのを止められなかったのだ。
しかし不可解であった。
初号機のリリスへの接近はMAGIが捉えていたはずだ。だがMAGIは、反応しなかった。
まるで何かに妨害でもされていたのか……。っと、リツコが考えた時、ハッとリツコは、機龍フィアの方を見た。
「まさか、椎堂ツムグが!?」
「奴がどうした?」
「椎堂ツムグは、これを狙ってやっていたというの!? 初めから初号機を利用しようとして…。」
「だからなんなんだ!?」
「この非常事態は、すべて椎堂ツムグによって仕組まれたことだったのよ!」
「なんだって!」
「彼は、自分目的のためにすべてを巻き込んだ…!」
死ぬために、そのために。
世界の滅亡も、人が作ってしまった化け物の産物すらも利用したのだ。
自分が、死ぬために。
“死ぬ”ために。
『その通りだよ。』
リツコのパソコンからツムグの声が流れた。
「椎堂…、ツムグ…!」
『全部…、ぜーんぶ、このためにやったんだよ。』
「あなたは世界を壊してまで自殺をする気!? これはもはや無理心中よ! そんなことこっちは願い下げだわ!」
『出る犠牲は…、遅かれ早かれ成就されていた“死”だよ。回避しようがない絶対的な“死”だった。まあもっとも、LCLってスープは、死んでるとは言えないかもね。』
「っ! 肉体を失い、自己を失うこと
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