第三十四話 ディメンション・タイド
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「一集落が全滅したってよ。」
「なんやってんだよ、研究部は。」
「一研究者の研究内容を把握してないなんてどうかしてるぜ。」
などなど、科学研究部への悪い言葉が飛び交っていた。
小さな集落の住民達が何かに貪り食われてしまった事件は、初号機の捜索隊によって判明した。
住民は全滅。女子供も残らず喰われていたという。
現場は血の海。その血の海の中に人間と思しき“残骸”が散らばっている現場は、血になれている者でも吐き気を催すほどであったという。
「初号機の仕業かしら?」
「まさかそんなことになっていなんて…。」
科学研究部で初号機の蘇生が行われていたことを、尾崎は知らされた。
尾崎にとって初号機は人類補完計画を教えてもらった、ついでに精神を取り込まれかけた切っても切れない因縁のある相手である。
尾崎の勘では、初号機にあった意思は間違いなく、あの時シンジの精神内で出会った初号機の意思の方だ。碇ユイではない。
「前々からあの部署がヤバいっていうのは聞いてたわ。ヤバイってだけで済まさずきちんと査定してればこんなことにはならなかった…。私達の落ち度だわ。」
事件を聞いた音無は気を落とす。
「…それで、どうするんだ?」
「とにかく初号機を見つけ出さないことには話が進まないわ。これ以上の犠牲を出さないためにもね。」
「そうか。」
「はあ……。」
音無は大きくため息を吐いた。
基地の破壊、そして自分達の落ち度による被害。様々要因によるものだ。
「ツムグもツムグよ。あいつ何か隠してるのは間違いないのに喋らないし、こんなことになることだって知ってたはずなのに。」
「ツムグだって万能じゃないんだ。死は回避できないって前々から聞いてるしな。」
「だからって隠してる素振りを見せる要因にはならないわよ。絶対わざとよ。」
「…ツムグってそういう処があるよな。」
「あいつは周りのことなんてまったく考えてないのよ絶対!」
音無は、ガーッと怒りだした。
「み、美雪…。」
「あのバカ、そうやって周りを翻弄して何が楽しいのよ! ほんとにもう! どれだけ絞めてもまったく治りゃしない!」
「お、落ち着け…、落ち着けって…。」
「こっちの信頼を無下にするようなことして、本当に、もう!」
音無の怒りは、しばらく続いた。
尾崎もツムグの行動の矛盾については、思う処はある。
しかしツムグの考えは、尾崎の力をもってしても分からない。
科学研究部でのツムグに関する研究では、細胞が持つエネルギー量が怪獣レベルなため超能力のレベルもミュータントと比較にならないほど高く、カイザーの尾崎ですらも太刀打ちできないほどである。
ツムグのこの高い能力を次世代に繋げられな
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