第三十三話 死の預言
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本当に楽しかった。明日が来ることが楽しいと思える日が来るなどと、あの頃の自分は想像もしなかっただろう。
けれど今の時代が激動の時代だということを忘れていた。
ゴジラがいて、使徒がいて。
渚カヲルと名乗っていた人型の使徒によって、基地は破壊され、見知った人達が操られ、たくさんの人々が死んでいった。
目の前でお世話になっていた人が死んだ。
死が常に隣り合わせだということを完全に忘れるほど、シンジは確かに幸せだったのだ。
「あのね、碇君…。」
「……。」
テントの横で体操座りをして顔を伏せているシンジに、隣に座っているレイが話しかけ続けていた。
「エヴァ初号機のコアには、碇ユイ…、碇君のお母さんがいたの。」
はっきり言って今話すことじゃない。だがレイは、いまいち話題選びができてなかった。
「だから私と碇君だけが、初号機とシンクロできた。でももう初号機はない。碇君のお母さん、完全に死んじゃった。」
「…それ、今話すこと?」
「違った?」
「違うよ。」
顔を伏せたままツッコミを入れる。レイなりに頑張って場の空気をなんとかしようとしていたのは、一緒に過ごしていてシンジは理解している。
「どうでもいいよ。そんなこと。」
「でも…。」
「母さんのことなんてほとんど覚えてないし、今はそんなこと考えてる余裕ない。」
人との繋がりに飢えていた頃のシンジが見たら、きっと信じられないだろう。シンジは、自分の親にけっこう無関心になっていた。
ある意味で精神面で強靭になったといえるかもしれない。
「綾波…、本当に人間になれたの?」
「うん。」
「そうか…。うん…、そうか…。」
シンジの片手が、隣にいるレイの片手に重ねられた。
「おめでとう。」
「ありがとう。」
二人は肩を寄せ合った。
ようやく、レイが人間になれたことを喜ぶことができた。
***
シンジとレイが肩を寄せ合っているのを遠くから見ていたツムグは、一人悶絶していた。
「かわいい〜〜〜! あ〜、これだからやめらんないんだ。」
やめられないとは、覗きのことだ。
「何やってるのよ…。まあ、いつものことだけれど。」
音無が呆れ返った顔で言った。
音無達、科学者達一同は、破壊された基地の科学部研究所からデータや、研究物の復旧を行っていた。
「思ったよりも被害が少なくて済んだけれど…。」
「まあ、もともと怪獣が来ても大丈夫なように特に頑丈にしてるからね〜、研究部は。バイオハザードの心配はないんでしょ?」
「ええ、今の所はね。」
「そこらへんもさすがだよね。生物化学系統は、怪獣がいた頃からずっとすごかったし。」
「怪
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