第三十三話 死の預言
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か。」
風間は、それを聞いて目を閉じた。
カヲルに何かをされて操られたという記憶はかなり鮮明に残っている。
自分の意思に反して周りに攻撃を加えた記憶。
尾崎に対する嫉妬心が増長され殺す寸前までいったのも覚えている。そして圧倒的な力を目覚めさせた尾崎に敗北したことも。
簡単に操られてしまった悔しさに、風間は拳を握りしめ、歯を食いしばった。
「志水さん…、覚えてるか? 食堂のおばちゃん。」
「ああ…。」
「死んだ。カヲル君に殺された。」
「そうか…。」
「俺がもっと早く覚醒していれば、もっと助けられたはずだったのに…。」
尾崎は肩を抱いて俯く。
「おまえの責任じゃねぇ。」
「でも…。」
「おまえはお人好しすぎんだ。そんなんでよく生き残れたよな、まったく…。」
「すまない…。」
「だから一々謝るな、馬鹿野郎。」
「どうして俺だけが新人類なのか分からないよ。ツムグが言うには、いずれみんなそうなるって言うけどさ…。」
「気の長いこったな。」
ツムグは、いずれはすべての人類が尾崎と同じになれると預言したが、それがいつになるかははっきりさせなかった。
かなり気の長いことなのは間違いない。
「あのガキは、おまえを見て道を譲るって言ったんだろ?」
「ああ。」
「なら人類補完計画も挫折したってこったろ。」
「だといいんだがな…。」
「なんだ?」
「嫌な予感がするんだ…。」
「…おまえのそれはよく当たるからな。」
尾崎の予感はよく当たる。だがツムグのように具体的になところまではいかなない。
「おまえ…、これからどうする?」
「俺は…、M機関に残る。兵士を続けるよ。」
「俺もだ。」
「風間…。」
「勘違いするなよ。俺は俺のために続けるんだ。」
「そうか。」
まあ、風間ならそう言うだろうと思った尾崎は、そう言った。
いつも通りな風間の様子に、尾崎は初めて笑った。
***
両親についての記憶はほとんどない。
それがシンジの実の両親に対して想うことだった。
母親の面影はなんとなく覚えている。父親のゲンドウについては、最後に見た背中を泣きながら見送るしかなかった。父親については最近になって急に呼び出されて親子の再会とも言えない状態で再会となったので酷い目にあった。
ゲンドウに対する恐怖心にも似たトラウマは、地球防衛軍で過ごすうちにいつの間にか忘れ去られていた。(一時風間にたいして苦手意識はあったものの)
ただただ空虚な日々を送っていた頃が嘘だったかのように、楽しい毎日を送っていた。
レイという大切な相手に出会えて想いを伝えて、触れ合って。
毎日が
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