第三十二話 第18使徒リリン
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が、かなり綺麗な状態だった。
ナツエの傍らに、ツムグはしゃがみ込んだ。
「ねえ、ナッちゃん。前に言ってたよね。もしも俺が死の預言をしたらって聞いた時、私のことを少しは想ってくれますぅ?って。………心配せずとも、想ってるよ。」
ツムグは、もう二度と動かないナツエに語り掛ける。
「ねえ、ナッちゃん。最後の使徒が死んだよ。ここから先は…、どうなるのかな?」
返事はもう返ってこないと分かっているのに、それでも話しかけ続ける。
「俺も全部わかるわけじゃない。色んな人から責められたけど、波川ちゃんやゴードン大佐は相変わらず。カヲル君が自殺して、ゴードン大佐怒ってたな〜。尾崎ちゃん達は…、シンジ君達慰めてたなぁ。食堂のね、あのおばちゃん死んじゃったんだ。シンジ君達の前で。レイちゃん、人間になれたけど、喜んでる暇ないね、これじゃ。ミュータント兵士達もこれから大変だ。たくさん死んじゃった。たくさん殺しちゃった。操られた時に神経がズタズタで、今までいたM機関のミュータント兵士は、もう半数もいないんだ。たくさん死ぬのは知ってたよ。誰が死ぬのかも知ろうと思えば知れたけど、やらなかった。」
ツムグは、ギュッと自分自身の体を抱いた。
「俺のやり方は、きっと間違ってる。でもね、ナッちゃん。」
ツムグは、笑う。
「死にたいんだ。俺。」
ナツエの汚れた頬を撫でながら、ツムグは笑って言った。
「先に逝けたナッちゃんが羨ましいよ。」
***
ずるり、ずるりと、ソレは這いずる。
破壊された地球防衛軍の基地の研究所から逃げ出したソレは、人知れず移動する。
第三新東京へ。
『アア……、モウスグ…、もう…、す、ぐ……。』
未完成の胎児のようにも見えるソレは、ブツブツと呟きながら這いずりながら進む。
『オニイチャン……、もうすぐ…、だ…よ…。』
幼い男の子のような声を発する。
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