第三十二話 第18使徒リリン
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いた。
「完全な人間型の使徒とは、全く予想していなかったわ。」
「しかも今まで出てきた使徒の力までもってやがった。」
誰が想像する?
そんな使徒が現れるなどと。
「基地の修復ももちろんですが、生き残ったミュータント兵士達へのカウンセリングもしなければなりませんね…。」
「今回のことで相当応えてるぜ。恐らく半数以上が退役を望むだろうな。熊坂の奴も重体だしよぉ。」
尾崎を逃すために操られた他のミュータント兵士達を引きつけた熊坂は、乱闘の末にこれを退けたものの大怪我を負った。
「今回のことはM機関の存続にも大きく響くことになったわ。…狙ってやったとは思えないけれど。」
「そりゃ偶然だろ。奴の目的は、ツムグの野郎を引っ張り出すことだった。なんでかは知らねーが、ツムグの野郎…、戦うことをえらく渋ってたがな。」
「ツムグのことだから何か理由があったのでしょうね。」
「それがな……、戦う相手が自分じゃなく、尾崎だって言いやがったんだ。」
「尾崎少尉が?」
「その件については、あいつ(ツムグ)を問いたださにゃならねー課題だ。渚カヲル…、使徒としての名前はタブリスって言うらしいが、一人で納得して、勝手に死にやがった。…ゴジラの口ん中に入ってな。」
「自ら死んだのですか、その使徒は。」
「気がかりなことを残してな。」
「気がかりな事?」
「ヲルカとかいう、渚カヲルによく似た男が来た。そいつは、ゼーレの部下だったらしいが、そいつが言いやがった。リリスの魂を持つ者を確保。人類補完の道標。アダムの魂を持つ。どうやらゼーレの連中の企みの要が一か所に集まってたらしいな。」
「魂ですって? 使徒の魂を持つ者がいたと?」
「恐らくリリスの魂を持つ者ってのは、綾波レイって娘のことだ。だが渚カヲルが言うには、あの娘が完全な人間になったことでリリスの魂は失われたらしい。そして残るアダムの魂を持っていた渚カヲルは、自ら死んだ。」
「つまりこれでゼーレの企みの要がすべて失われたというわけですね。」
「だといいがな…。」
ゴードンは、いまだ姿を見せぬゼーレがまだ燻っていることを直感していた。
まだ終わっていない。ゼーレを見つけ出し、一人残らず始末をつけなければ終わらないと。
「必ず終わらせてやる。」
ゴードンは、そう呟き、拳を握った。
***
地球防衛軍の広い訓練場の空き地に、布を掛けられた遺体が並べられた。
その数は凄まじく。人間の形をしていないものもある。
その中を歩いていたツムグは、ある一人の遺体の前に来た。
そしてソッと顔にかかった布を取る。
「………ナッちゃん。」
ナツエだった。
ナツエは、少し煤けている
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