第三十二話 第18使徒リリン
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類補完がならなければ、ヲルカはすぐに死んでしまうんだ。」
カヲルが背を向けたまま、尾崎達に向けて言った。
「ああ…、なるほど、急激な老化現象。」
ツムグがポンッと手を叩いて言った。
ヲルカは、カヲルと同じく、アダムからサルベージされた存在だった。
しかしその魂は、カヲルと違う。
それゆえにATフィールドは弱く、急激な老化現象などの症状を患っていた。
そのため短期間で一気に年を取っている。ゼーレの命令でゲンドウに従っていた時に比べて10歳以上は老化していた。
だからこそゼーレにとっては、カヲルよりも操りやすかったと言える。人類補完によって魂が回帰され、自分自身の壊れてしまった“時間”から解き放たれることだけが救われる方法なのだと教え込めば……。
「ヲルカ。なにも人類補完計画だけが道じゃない。」
「だまれ!」
ヲルカは、無駄だと分かっていてもATフィールドによる中和を利用して銃弾を放つが、カヲルの分厚いATフィールドを破ることはできない。
「すでに未来は開かれているんだ。素晴らしい未来が…。」
「黙れと言っているぅぅぅ!」
「ヲルカ、あなたの壊れてしまった“時間”から解き放ってあげます。それがあの老人達と“僕ら”に狂わされてしまったあなたの魂への償いだ。」
「っ!?」
カヲルが右腕を伸ばして人差し指を出すと、ヲルカの胸に大きな空洞が空いた。
一瞬で空いた胸の穴から大量の血が噴き出し、ヲルカは、カヲルに睨みながら前に倒れた。
「カヲル君…。」
尾崎達は、カヲルとヲルカの争いをただ傍観していることしかできなかった。
「さよなら。」
カヲルが宙に浮き、空へ舞い上がった。
そこへゴジラの足音と、地響きが轟いた。
舞い上がったカヲルは、ゴジラを見た。
ゴジラもカヲルを見る。
ゴジラが口を開いた。
その口めがけて、カヲルは飛んだ。
そして……、飛び込んだ。
カヲルが口に入った途端、ゴジラは驚いたものの、すぐに歯を閉じた。
ゴジラの歯の隙間から、赤い液が垂れた。
ガジガジと噛みしめたゴジラは、口を開け雄叫びを上げた。
「…の野郎!」
ゴードンは、憤怒の表情を浮かべ、地面を一回強く踏みしめ、背を向けた。
「ゴジラを撃退するぞ。出動だ!」
「カヲル君…。」
「尾崎! …後にしろ!」
「……はい!」
悲しむ暇を、ゴジラは許してはくれない。
守るべきもののため、尾崎は出陣した。
「俺も行こうか。」
ツムグも、機龍フィアに乗るべくその場を後にした。
残されたシンジとレイは、他の生き残りの地球防衛軍の兵達と合流した音無によって保護された。
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