第三十二話 第18使徒リリン
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物は何なんだろうと疑問を持つ。
その時、橙色の光が基地に広がった。
カヲル、そしてシンジが驚いているが、ツムグは、宙を見上げて、ああ…っと声を漏らしていた。
足音が聞こえた。
カヲルは、その音に一瞬体が撥ねた。
なぜだろうとそちらを見ると。
「尾崎さん…?」
尾崎がいた。
だが雰囲気が違う。
何かが違う。確かに尾崎なのだが、何かが違う。
ツムグは、尾崎の姿を見て、微笑んだ。
「尾崎さんですよね?」
「カヲル君。…終わりにしよう。」
尾崎は、哀しさを含んだ落ち着いた声で言った。
「…! まさかさっきの光は…。」
「俺が…みんなを解放した。」
尾崎が言った。
その目には、これまでと違う、大きな決意を感じ取れる光があった。
「よお、えらいことになったな、おい。」
そこへやってきたのは、ゴードンだった。
あちこちボロボロだが、しっかりと立っている。そして真ん中から折れた日本刀を片手に持っていた。
「…あなたも生きてたんですか。不死身ですか?」
「普通の人間なら10回は死んでたろうな。体のあちこちがまだイテーよ。」
「…さすがは人類最強と呼ばれるだけのことはある。」
カヲルからの攻撃をイテーで済ませるゴードンに、カヲルは、半ば呆れ顔で言った。
「ツムグ。これがおまえの言っていたことなんだな。」
「ああ。そうだよ、尾崎ちゃん。ようやく覚醒したんだね。」
「覚醒…。」
カヲルが半濁する。
そしてハッと尾崎を見た。
「まさか…、カイザーとはそういうことだったのか!」
「?」
何かを理解したカヲルが声を上げる傍ら、尾崎は疑問符を飛ばしていた。
カヲルは、額を押さえ、宙を仰いだ。
「ああ…なんてことだ。どうして“僕ら”は気付かなかったんだろう。こんな近くにあったというのに…。」
カヲルが、手をかざして荷電粒子砲を放った。
尾崎は、冷静に両手を前にかざす。
すると鋭い音を立てて、荷電粒子砲が弾かれた。
ATフィールドによって。
「驚いた…。本当にそうなんですね。」
「? 何を言っているんだ? ATフィールドのことか?」
「おい、尾崎、おまえいつの間にそんなことができるようなったんだ? ツムグ、説明しろ。」
「僕は結論出す時機を間違えてしまいました。」
「どういうことだ?」
「“僕ら”は、間違えてしまった。どうして気付くことができなかったのか不思議でなりません。」
「言っている意味が分からない。」
「…あなた達に会えてよかった。」
カヲルは、笑った。
まるで、もう思い残すことはないと言う風に。
「う……。」
その時、レ
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