第三十一話 TABRIS
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てたんでしょうかね?」
「勝手に決めるなって。」
「ああ…、やっと出てきてくれた。」
その声がしたことで、カヲルは表情を和らげ、そちらを見た。
赤と金色の髪の毛が揺れる。
椎堂ツムグが呆れ顔でカヲルを見ていた。
「まったく……、こんなことまでして。」
やれやれとツムグは、肩をすくめる。
「やっと僕と戦ってくれる気になってくれましたか?」
「戦わないよ。」
「……なぜ?」
きっぱりと断ったツムグに、カヲルの顔が曇る。
「戦う相手は、俺じゃないって言ったでしょ?」
「あなたじゃなければ誰が?」
「尾崎ちゃん。」
ツムグは、そう言って尾崎を指さした。
「どういうことだ!?」
指さされた尾崎は、困惑した。
「彼が? それは何かの間違いだ。尾崎さんは確かに精神波長も洗脳も受け付けなかったけど、それだけだ。僕が戦う相手じゃない。」
「そりゃそうだ。だってまだ覚醒してないんだもん。」
「はっ?」
ツムグの言葉にカヲルは疑問符を飛ばした。
まだ覚醒していない。
カヲルは、尾崎をちらりと見た。
地球防衛軍のデータベースを調べた時。カイザーに関する情報もあった。潜在能力が他のミュータントと桁違いで未知数だとされている。
尾崎の性格では、ひょっとしたら完全にその力を引き出せていないのかもしれないと、カヲルは気付いた。
しかしそれでも…。
「あなた以外に戦うべき相手とは思えない。」
「でも俺は戦わない。」
「そうですか…、なら…。」
そこへ別のバイクの音が鳴り響き、瓦礫の向こうからバイクに乗った黒い人物が飛んできた。
風間だった。
「風間!?」
「……。」
風間はバイクから降りると尾崎を睨みつけた。その表情は無表情ではなく、怒りのような感情に満ちている。
風間は雄叫びをあげなら、尾崎に飛び掛かった。
「風間、やめろ!」
「あなたの相手は、彼にお任せします。」
「…そうくるか。」
風間と尾崎の戦いが始まった。
「尾崎ちゃん。シンジ君達は、俺がなんとかするから、風間の方をなんとかして。」
「ツグム…、でも…。」
「いいから。」
風間と取っ組み合いになっている尾崎にツムグがにっこり笑って言った。
尾崎は、グッと歯を食いしばり、目線を目の前の風間に移した。
血走った眼をした風間は、もはやバーサーカーと化している。
風間を解放するには……。
風間を弾いた尾崎は、高所へ飛んだ。風間は尾崎を追い、同じく飛んだ。
その場に残されたのは、カヲルとツムグ、そしてシンジとレイだけだった。
「やっと戦う気になってくれましたか?」
「なわけないじゃん
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