第三十一話 TABRIS
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く。
「………渚…君?」
カヲルがこちらに歩いてくる。
服や白い肌や銀色の髪の毛のところどころに、赤い血のようなものを散らしたカヲルが。
「その子を…、こっちに渡してもらえるかい?」
そう言って手を差し出してくる。
シンジは、プルプルと首を振りながら後退る。
志水を……、壁の染みにしたのは、カヲルだと。直感する。
そしてレイを渡してはならないと本能が訴える。
「そう…。残念だな。」
シンジがレイを渡す気がないと知ったカヲルは、微笑み、差し出していた手をシンジにかざした。
その時。
バイクの爆音が鳴り響き、カヲルとシンジらの間に黒い影が走り抜けた。
「あなたも無事でしたか。」
「尾崎さん!」
「無事か!」
バイクに乗ってきたのは尾崎だった。
尾崎は、バイクから降りるとカヲルに睨んだ。
「カヲル君…。」
「どうしてあなただけ平気なんですか? 不思議だなぁ。」
「っ、みんなを正気に戻してくれ!」
「あれだけの人数を倒してきたんですか?」
「熊坂教官が引きつけてくれたんだ…。…話を聞いてくれ。」
「話し合いはもう十分です。ここからは…、言う必要はないでしょう?」
「例え……君が人間じゃなくても、俺は戦えない。」
シンジは、二人の会話を聞いて理解した。
この騒動を起こしたのは、カヲルだと。
そして突如現れた使徒とは……。
「…とことん甘いんですね。その甘さが死につながるというのに。」
苦笑したカヲルが尾崎に向かって手をかざす。
するとATフィールドが発生し、ATフィールドが尾崎に向かって飛んでいった。
尾崎は高く跳躍し、ATフィールドを避けた。ATフィールドが尾崎が乗ってきたバイクを破壊する。
着地した尾崎は、哀しそうな顔をしてカヲルを見る。
「どうしてこんなことを…。」
「“僕ら”とリリンは、戦わなければならないんです。そうすることは、ファーストインパクトの時から決まっていた。」
カヲルは、反対の手から荷電粒子砲を放った。
それは、使徒ラミエルの主武器だ。
尾崎は、それを横に逸れて避けた。
「これは生存競争なんですよ。動物ならば当り前のことです。」
「それでも…、話し合う余地はないというのか!?」
「君達とは、色々と話したし、観察もさせてもらった。そして出した結論がコレさ。」
「どうしても戦わなければならないと?」
「そういうことです。それと……、どうしても戦わなければならない相手がいます。彼を引っ張り出すには、これくらいやらないといけないと判断しました。」
「誰のことを言って…、まさか!」
「これだけやっているのに出てこないなんて…、彼はリリンを見捨
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