第三十一話 TABRIS
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「っ……。」
「どうした尾崎?」
「いや、なんでもない…。」
尾崎は、仲間にそう言って首を振った。
「尾崎さん。」
「カヲル君。ん? 泥がついてるよ。」
「ああ、ちょっと転んだだけです。」
「怪我はない? 大丈夫?」
「大丈夫です。」
「そういえばさ。」
尾崎の仲間が言った。
「あの青い髪の毛の女の子、いよいよ実験するってよ。大丈夫かな?」
レイの噂は地球防衛軍中に知れ渡っていた。
「なんか研究部が怪しいことやってるらしいって聞くし、あの子大丈夫なのかなぁ?」
「疑ってるのか?」
「あ、いや、別におまえのかの…じゃなくて、音無博士のことを疑ってるわけじゃないって。」
「きっと大丈夫だ。俺は信じてる。」
「尾崎らしいなぁ。」
「……。」
尾崎達の会話を、カヲルは、黙って観察していた。
カヲルにとって気になる話題であった。
青い髪の毛の女の子。
ゼーレのデータにあった、ファーストチルドレンの特徴と一致する。
チルドレンは、確か、全員地球防衛軍のもとにいるはずだったと記憶している。
そういえばファーストチルドレンの綾波レイにはまだ会ったことがない。
実験がどうのと言っているので人体実験でもしているのだろうか?
一通り地球防衛軍は見て回ったが、地球防衛軍の研究室でいわゆるヤバイ研究も行われていることは知っている。
特に気になったがのが、胎児のような…物体を育ててことであるが。なんとなく使徒っぽい気配を纏っていたのが気になる。
「カヲル君。どうしたんだい?」
「青い髪の毛の女の子…、どこで会えますか?」
「えっ? レイちゃんに? 会ったことないのか?」
「ありません。どこで会えます?」
「ああ、あの子なら今頃研究所にいるかもしれないぞ?」
「もう始まるのか?」
「人伝で聞いた話じゃな。」
「なんの実験なんです?」
「人間になるための実験さ。」
「っ…。」
カヲルはそれを聞いて微かに目を見開いた。
出生に関するデータが一切ない綾波レイの正体が、自分と同じような存在であることがすでに地球防衛軍内で知られていることに驚いたのと、その彼女が完全な人間になろうとしていることに。
「……うまくいくんですか?」
「レイちゃんは、きっと人間になれる。俺は信じているよ。」
「どうしてそんなに……。」
「ん?」
「いいえ、なんでもないです。」
「おーい。おまえら。」
そこへ別の仲間が走ってきた。
「ゴードン大佐見なかったか?」
「いや。」
「見てない。」
「そうか…。今朝から姿が見えなくってな。探してるんだよ。もし見かけたら波川司令が呼んでるって伝えてくれ。」
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