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ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)
第三十話  ふぃあと渚カヲル
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「邪魔しやがって…。」
「黙れ風間!」
「申し訳ありません。」
 忌々しそうに言葉を口にする風間に対して、尾崎は頭を下げた。
「風間、おまえが尾崎を気に喰わないのは十分承知している。だが体を壊してはいざ戦闘に入った時に何もできんぞ。いつゴジラや使徒が現れてもおかしくないのだからな。」
「……なぜなんだ。」
「はっ?」
「なぜあの時…、尾崎だけが平気だったんだ。」
「あの時? あの精神攻撃を行って来た使徒の時か。それは、尾崎の神経構造の違いじゃないかと科学部が結論付けているはずだが?」
「尾崎は、俺達と何が違う! ほとんど同じはずだろ!」
「風間……。」
 カイザーと呼ばれる百万分の一確率で生まれるとされるミュータントの突然変異であるが、構造自体は他のミュータントと同じであると結論が出ている。それなのになぜか尾崎だけが使徒アラエルの精神波長の光の中で平然としていた。
「なぜおまえだけが……。」
 風間は、尾崎を睨む。
 睨まれた尾崎は、困惑した顔をする。彼とてなぜ自分だけが平気だったのか分からないのだ。
「クソッ!」
 風間はそう吐き捨てると、背中を向けて去っていった。
 風間だって本当は分かっている。これはただの嫉妬だと。だが激情を止められないのだ。同じ土俵にいるはずなのに、尾崎と自分がなぜこんなに差があるのかと。
「待て!」
 熊坂が風間の後を追った。
 残された尾崎は、ただ俯くことしかできなかった。
 風間がなぜ尾崎を避け、敵意を向けて来る理由は分かった。だがそれは自分にもわからない事情だ。
「どうして俺だけ……。」
 風間は宙を見上げ、そう呟いた。
 その疑問に答える者はいなかった。





***





 実験の説明を終えてから、レイは、実験に向けて体を調整することになった。
 まず胃腸の中を空っぽにするため実験前は絶食、下剤も飲まないといけない。
 実験が始まる前に、美味しいものを食べさせてあげようということで、戻ってきたレイには、食堂の職員達とシンジの手で、ご馳走が用意された。もちろん肉なし。
「これは?」
 レイは、テーブルに並べられた料理の数々を見た。
「実験前に絶食しなきゃならないんでしょ? その前に美味しいもの食べて英気を養ってもらおうってわけよ。」
 志水がそう言ってレイの肩を軽く叩いた。
「…ありがとう。」
 レイは、ご馳走を用意してくれた者達全員に頭を下げた。
 そしてささやかなパーティが始まった。
 レイの実験の成功を祈るものであるが、もしかしたらこれが最後になってしまうかもしれないという最後の晩餐でもあった。
 しかしそのことを決して口にしないように努めた。

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