第二十九話 椎堂ツムグの決意 その2
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上がるために、手を着いて起き上がると、今度は腕のパワーで思いっきり跳ね上がるように立って…、そして今度は横に倒れた。
『風間少尉! いい加減にしないか! 立つだけなんだぞ!』
「うるせぇ! パワーが桁違いで加減ができねぇんだよ!」
その後、30分近く経ってなんとか立ち上がった。
立ち上がる動作だけで、風間はかなり疲れていた。
「あの野郎は、こんなことを簡単にやってやがるのか…。」
ツムグのあり得なさを痛感するが、風間は今回のこれが初めての本格的な機龍フィアの起動実験&模擬戦だったという状況だったというのもあるのだから仕方ない。
『風間少尉の疲労度が高すぎます。これ以上は…。』
『風間少尉、模擬戦闘は中止だ。』
「まだやれる!」
中止を呼びかける通信に、風間は否定の言葉を言った。
風間は、操縦桿を握り直した。
機龍フィアが再びジェットを吹いた。だが今度は転倒しない。真っ直ぐモゲラに突撃した。
モゲラが右に避けると、急ブレーキをかけて、ターンし、モゲラに掴みかかろうとした。
だがそこまでだった。
キュウンッと機龍フィアの目から光が消えた。
『カザマ。もう無理だよ。』
「…ぜぇ…はぁ……、ま、まだだ…お、れは……。」
『カザマ? カザマ! どうしよう、カザマが気を失っちゃった!』
風間が操縦桿を握ったまま気を失ってしまったため、ふぃあが悲鳴を上げた。
すぐに救護班が駆けつけ、風間は機龍フィアから運び出されて担架で運ばれた。
一旦ドッグに戻された機龍フィアから風間が操縦した時のデータを取られると、次の操縦者候補の尾崎に移る。
「あの、風間は大丈夫なんですか?」
『気にするな。命に別状はない。スタバイしてくれ。』
「…了解。」
倒れた風間を気にする尾崎を宥め、技術部の人間が準備をするよう言った。尾崎は渋々了承する。
『カザマはきっと大丈夫だよー。』
「そうだな…。そう思いたいよ。」
『集中しろ、尾崎少尉。』
「はい、すみません。」
尾崎は、息を吸って吐き、集中した。
そして、ふぃあの協力のもとのシンクロ率が叩き出される。
活性率、125パーセント。
『機龍フィア、基準活性率達成! 起動します!』
『ふぃあが協力しただけでここまで違うか…。どれだけ拒否していたんだ。』
『さっきのような無様な動きはしないでくださいよ!』
風間は、倒れた機龍フィアを立ちあがらせるだけで30分はかかったのだ。見ている方はかなりイライラさせられたのである。
モゲラを前にして、尾崎はたらりと一筋の汗をかいた。
「これが、活性状態の機龍フィアか…。」
接続した個所から伝わってくる奇妙な感覚に
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