第二十七話 渚カヲル
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
『先ほどの風間少尉の実験の時のふぃあの声なんですが…、少し変わっていたように聞こえたのですが…。』
『変わっていた? どういう風に?』
『なんと言いましょうか、少し成長したような…、子供の、それも女の子の声に近くなったような気がしまして…。』
『おんなのこ? ふむ…。尾崎少尉。ふぃあに喋らせてもらえないか。』
「了解。ふぃあ、聞こえているなら返事をしてくれ。」
『……。』
「聞こえているのにどうして黙っているんだ?」
尾崎の周りにある計器はしっかり正常に動いている。つまりDNAコンピュータであるふぃあに聞こえているはずなのだ。
『……ずかしい。』
「ん?」
『だって、恥ずかしいだもん。』
「だもんって…。そんな恥かしいことなんてないぞ?」
『…ふうむ。少し成長したのだろうか?』
ふぃあの声が、確かに少々変わっていたことに、技術部の責任者はそう捉えた。
ふぃあの性別は、どうやら女の子らしい。まあ機械(生体入り)なので性別も何もないのだが。
『ま、分かったところで活性率が上がるわけじゃないからな…。』
それを言ったらお終いだというツッコミを現場にいた者達は思った。
『ねえ、ツムグじゃダメなの?』
ふぃあが言った。
この言い方だと、ツムグ以外を乗せるのを嫌がっているように聞こえる。
「俺じゃダメなのかい?」
尾崎が聞く。
『ダメじゃないけど…。やっぱツムグがイイ。』
「ツムグのこと好きなんだな。」
『ウン! 大好き!』
元気に無邪気にそう言うふぃあの声に、外にいた技術部と科学部の面々はなんだか居心地が悪く感じた。彼らとしてはふぃあに譲歩してもらってツムグ以外の操縦者を選びたいのであるが…。
『かと言って、DNAコンピュータをアンインストールできませんしね…。』
『アンインストールなんてしてみろ、今までのデータもクソもパーだ。それだけはやめろ。』
『オートパイロットプログラムがパーになりますって!』
『そんな地獄はみたくないーーー!』
オートパイロットプログラムの制作に苦心していた技術部の魂の叫びだった。
『外、ウルサーイ。』
元凶になっているふぃあが完全に他人事のように言った。
***
アラエルを撃破するために使用されたロンギヌスの槍は、その後も宇宙空間を飛行し、やがて月の引力に引かれて月に到達した。
使徒を一撃で撃破した武器ということで回収をという意見が寄せられたが、調べたところ月に到達したロンギヌスの槍は、とてもじゃないが地球には戻せない質量になっていたらしく、回収は不可能という結論が出た。
だったらなぜ投げる前に確認しなかったという非難があったが、精神
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ