第二十七話 渚カヲル
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それもたくさん死ぬ時だ。
どれほど正確に予言しても、死だけは回避できないのだとこれまでの経験から知っていた。
そうでなければ使徒レリエルの時だって犠牲になった者達が出ずにすんだはずだ。
「できれば私の時は教えてほしいわね。」
「教えてもらってどうするの?」
「引継ぎとか、色々とあるからよ。きちんとできてなければ後の者が困るじゃないですか。」
「そっか。」
波川の冷静な言葉にツムグは笑った。
***
風間の次は、尾崎が機龍フィアの操縦席に座った。
『尾崎少尉。シンクロ試験を始めます。意識を集中してください。』
「了解。」
尾崎は息を大きく吸ってはいて、意識を集中した。
ツムグと同じ装備を身にまとって、同じ状況で実験にあたっていた。
周りの計器が数値を表示し始める。
『活性率29.4パーセント。前回より8パーセント上昇です。』
「やった。」
前回よりいい結果が出て、尾崎は素直に喜んだ。
『あと少しで30パーセントだな。惜しかった。』
「でも8パーセントも上がった。」
『尾崎少尉は前向きでいいなぁ。』
「?」
『いえ、こっちの話ですよ。』
苛立っていた風間と比較して言われたことなのだが、尾崎には気づかれなかった。
『しかし約3割弱の活性率では、まともに戦闘はできませんよ?』
『そこなんだよな……。』
風間も尾崎も操縦者候補なのだが、二人合わせてもシンクロ実験の結果はツムグの半分にも満たないのだ。
ちなみにツムグのシンクロでの活性率は、約150パーセントである。100がDNAコンピュータの活性率の標準値として、それ以上を叩き出せるということは、より性能を引き出せるということだ。負荷がかかって壊れたりはしない。もともとリミッター解除の分を含めてるので基準値の倍以上の出力を出すことは想定の範囲内だ。
3割、つまり約30パーセント前後では、オートパイロットプログラムの方がマシだということになるのだ。
この問題を解決させないとツムグ以外の操縦者を選べないし、本来の機龍フィアの設計である、誰でも操作が可能というスタイルが実現できていないことになる。(訓練は必要ではあるが)
尾崎より前に実験にあたった風間とふぃあとの会話から、ふぃあ…つまりDNAコンピュータが非協力的なのは、ツムグ以外だと単にくすぐったいからだということが分かった。だがこればかりは、ふぃあが譲歩するしかない。幼い子供のような人格を持つふぃあに譲歩してもらうのは難しいことかもしれないが、やらないと何も解決しない。
『あの、少し気になったのですが…。』
『なんだ?』
技術者の一人が手を上げて言ったので聞いた。
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