第二十六話 銀髪の少年
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僅かに動く。
その唇の動きを見て尾崎は微かに目を見開いた。
「早く救護に回せ。」
現場の班長の声がかかり、少年は運ばれていった。尾崎の手を握っていた手は握力がほとんどなかったためすぐに離れていった。
尾崎は運ばれていく少年を目で追った。
「どうした?」
「いや、なんでもない…。」
声をかけて来た仲間にそう答えたが、尾崎は先ほどの少年が言ったことを考えた。
やっと会えましたね。
と、少年の口が動いていたのだ。
まるで尾崎と会うのを待ち望んでいたとでも言いたいかのように。
気のせいだと思いたかったが、妙に頭に焼き付き離れなかった。
***
機龍フィアは、使徒ゼルエルとの戦いで壊れた。
機体の中心を貫かれるは、素体の背骨部分も壊されるは、装甲もボロボロだはとにかく酷い状態だった。
修理は順調に進んでいたが……。問題が発生した。
「頼むから機嫌治してよー。」
『……。』
DNAコンピュータに宿る意思、ふぃあがへそを曲げてしまったのだ。
「俺が悪かったからさぁ。」
原因は、ゴジラがゼルエルに喰われたのに逆上したツムグにある。
機龍フィアの機体損傷を無視してリミッター解除をしようとしたのも要因の一つと思われる。もしリミッター解除なんてしていたらそれこそ修復が難しくなるほど大破していただろう。
「…まいったな。どうしよう?」
「私達に聞くな。」
ツムグでもどうしようもない状況に、技術部と科学部の面々は頭を抱えた。
「いつものおまえならちゃっちゃと解決しそうなのに、どうしたんだ?」
「……。」
言われてツムグは、まいったな〜っというリアクションをした。
確かに変だと周りの人間達も思った。
いつも何でもお見通しで何でもこなしてしまうツムグの様子が少し変だ。
「ちょっと調子がいまいちでさ。」
ツムグは、正直に言った。
「んなアホな!?」
あり得ないと周りが声を上げた。
今までそんなこと一回もなかったのにどういうことだと。
今までどんな大怪我をしても、毒を盛られても平気な顔をしていたのにいったいどうしたことだと。
「ごめん。本当に調子がよくなくて。ふぃあちゃんとも話ができそうにないし、今日は勘弁してね。」
「あっ、おい!」
ツムグは、そう言い残すとその場からいなくなった。
今までになかったツムグの体調不良に、技術部も科学部もざわついた。
この後、ツムグがベットで腹を押さえて寝込んでしまったことで、波川に相談が行くことになる。
「やはり原因は、アレでしょう…。」
「アレじゃないですか…?」
アレ
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