第二十六話 銀髪の少年
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なぜ殴られたのか、尾崎には分からず風間に理由を聞こうとしても無視される。
周りも風間の様子を見て事情を聞こうとしたりなどしたが、風間ははぐらかすだけで語ろうとしないため困ってしまった。
そんな時、大きな地震が起こった。
震源地は、北海道方面で、すぐに救助のため部隊が派遣されることになり、ミュータント部隊も加わることになった。
最近は地殻変動も落ち着いていたため大きな油断となった。
せっかく復興した街が再び崩壊し、すぐに救助活動が始まる。
余震を警戒しながらの作業であるが、ミュータント兵士達の力もあり救助活動はかなり捗った。
「よし、次行くぞ!」
「……。」
「尾崎どうした?」
「すみません、行ってきます!」
「尾崎!?」
尾崎が突然瓦礫の奥へ走りこんだ。
直感だった。
超能力というよりは、勘だった。
「誰かいますか!」
奥に向かって声をかける。
声は帰ってこないが、何かが動く気配が微かにあった。
奥へ奥へと進んでいくと、急に開けた場所へ出た。
「空洞?」
こんな空洞が街の中に空いていたのかと驚いた。
恐らくは地下道のようだがすでに放棄されて数年は経っていると思われ、そのまま上に街が復興したのだろう。
抜けてしまった床の下に鉄骨が絡み合う空間の下には地下水が溜まっている。
僅かな光に照らされた地下水に浮かぶ岩に人がいるのを発見した。
遠目に見て、子供だというのが分かり、尾崎は素早く鉄骨を伝って降り、岩の上へ降りた。
「大丈夫か! 君、しっかり!」
助け起こして声をかけるが意識がない。
尾崎は、少年を抱きかかえて外へ出るべく飛んだ。
と、その時。尾崎を追ってきた仲間が瓦礫を慎重に撤去し、尾崎と少年が出られる脱出口を開けていてくれた。
「よくやった、尾崎!」
「はい。」
尾崎は、担架の上に少年を乗せようとしてふと手が止まった。
頭を支える尾崎の手に濡れた銀髪が絡みつく。
肌の色は病的なほど白く。
顔立ちは、男の尾崎から見てもかなりの美貌だというのが分かるほどだ。
年頃は、シンジやレイと同じぐらいだろうか。
「……。」
「おい。尾崎。」
「はっ、すみません。」
声を掛けられて我に返った尾崎は、少年を担架に乗せた。
「う…、うん…。」
少年が僅かに呻いた。
その手が担架の横にいた尾崎の手を握った。
閉じられていた瞼がピクピク動いた。
そして開く瞼の下の眼は……。
真っ赤な、深紅の眼だった。
その目はレイによく似ている。
「あ…。」
その目に驚いていると、少年の顔が尾崎の方へ向けられた。
少年の口が
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