第二十四話 G細胞と使徒
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あるゼルエルの顔が血で汚れていった。
そしてついに下顎を千切り取ったゴジラは、更にゼルエルの腕を掴んでへし折った。
バランスを崩し前のめりに倒れかけるゼルエル。更にゴジラは、足をゼルエルの肩辺りに乗せて、折れた腕を引っ張り、引き千切る。引き千切られた腕は、その辺に放り棄てられた。
コアが今にも壊れそうな状態なせいか、あの異常な再生力も失われてしまったらしい。
もはや、このままゴジラに惨殺されるのだろうかと戦いを見守っていた者達が思った。
ゴジラがゼルエルの元々ある顔の方を掴み、引っ張ると、まるでゴムのように伸びる顔。
その時だった。
ゼルエルの口から、ゴジラを喰った時に使った器官のような物が飛び出し、それが思いっきり広がって、ゴジラの顔から上半身辺りまで飲み込んだ。
飲み込んだヒダの部分からゆらゆらとエネルギーを吸い取っていることを示す光が発生している。
この光景は、かつてオルガがゴジラを丸呑みした光景とよく似ている。
その証拠に、ゼルエルの体から生じている背びれがますます発達し、ゴジラの背びれにより近いモノになり、尻尾が生え、足の方もゴジラのようにごついモノに変異しつつあった。
その変異によってコアがビシビシと音を立てて、ついに崩れた。
と同時に、ゼルエルの動きが止まった。
へたり込むように上半身を前に倒れさせ、ゴジラは、自分を丸呑みにしようとしていたゼルエルの口から出て来た。
動かなくなったゼルエルを、ゴジラが見下ろす。
そしてゼルエルの体がドロリと溶けるように崩れ始めた。
溶けた体がどんどん地面に広がっていく。
やがて黒っぽい灰色の液体だけが残り、ゼルエルは形を残さず溶けてしまった。
地球防衛軍のスーパーコンピュータのパターン判別機能が、パターン青の消失を示した。
***
「死んだか…。」
ゴードンは、轟天号の中で中継を見ていてそう呟いた。
「これがG細胞の副作用なのか…。」
「馬鹿な真似をしやがって。」
ゴジラを喰わずにいれば、ゼルエルは、勝利していただろう。使徒として。
だがゴジラを喰った代償にゼルエルは、変異に耐えられなかったのかコアが砕け、ドロドロに溶けて死んでしまった。
「艦長。発進しますか?」
「発進させろ。ゴジラを撃退する。」
「了解。」
「機龍フィアの方はどうなさいます?」
「あの状態じゃあれ以上は動けないだろう。放っておけ。」
機龍フィアは、地面に転がったまま動かない。時折火花が散っているので機能はまだ生きているらしい。
ゴジラとゼルエルの戦いは、ゼルエルの自滅によって幕を閉じた。
**
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ