第二十一話 可能性への敵意
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「ううう…、分からない。」
考えれば考えるほど分からなくなってきて、頭痛がしだしてきた。
「ツムグは何もしゃべらないからな…。」
ゴジラの思考が読めるはずなのに詳しいところは喋ってくれない。
ツムグは、結局のところ味方なのか敵なのか…。その気になれば人類の敵になっても不思議じゃない存在だとは聞かされているが今のところこちら側(人類側)の味方でいてくれている。だが正直なにを企んでいるのか分からない。
未来予知すらしているらしいが、ツムグは未来に何を視たのか…。
少なくともサードインパクトが起こることはよくないと思っているっぽいのは間違いないが…。
「……こーいうときには来ないんだな。」
神出鬼没のくせにこういう時には来ない。本当に何を考えているのかさっぱりである。
まだ時間も早いので、尾崎は寝なおすことにした。
***
「……。」
ツムグは自室で、ベットに寝っ転がりながらテレビを見ていた。
テレビでは、ちょうど赤ちゃん特集をしていた。幸せそうな家族が次々に映されている。
それを見てツムグは、苦笑した。
「俺には永遠に見れない光景だな…。」
ツムグには、子供を作る能力がない。
G細胞の力を持つ人類などツムグ以外に発見されていないため、発見された当初、ツムグのクローン、あるいは子供を作ろうとする動きはあった。
しかしなぜかそれはできなかった。
健康診断では普通の人間よりもミュータントよりも健康なはずなのにだ。
保管はできてもクローンなどで培養し新たな命を作るには至らない。ツムグの形にすらならないのだ。
機龍フィアの素体を作るにあたり、あの大きさまでツムグから搾っては注入し、搾っては注入しを繰り返して素体を作ったのだ。そこに機械が加わることで“ふぃあ”という自我意識が誕生したがあくまでふぃあは、コンピュータの意思でしかない。ツムグの体から生まれた命とは言えないだろう。現にふぃあには、ツムグの能力は受け継がれていない。
ツムグは、ベッドの上で寝返りを打ち、目を閉じた。
すると脳裏を過る、小さな光の粒の映像。
ツムグは、フフッと笑った。
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