第二十一話 可能性への敵意
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し肝心のツムグは語ろうとはしない。
「せめてクローン体が残っていればな…。」
レイに関する資料に記載されたクローンについて呟かれた。
クローンはすべて失われ、現在いるレイただ一人だけしかいない。もしクローンがあれば科学者達は遠慮なくそちらを利用していただろう。実験が一発勝負ではなくなっていたはずだと舌打ちさえあるぐらいだ。
「ともかくやりましょう。綾波レイがゴジラに目を付けられる前に。」
ゴジラに目を付けられたら実験どころじゃなくなる。
レイの実験まで、準備を進める研究者達を尻目に、別のことをしている研究者達もいた。
「せめてもっと増やせればな…。」
焼けた初号機から回収された微量の細胞を調べていた。
体長80メートルもあったのに、散々潰されたうえに、放射熱線も受けているため細胞のイキが悪い。このまま死滅しないのが不思議なくらいだ。
せめてもう少し増やせれば色々と実験に使えるのだが…っと、その研究者が肘をついて唸っていると。ふと、試験管に入ったツムグの骨髄液が目に留まった。
その瞬間、ピコーンとその研究者の頭に電球が光った。
微量の初号機の細胞の一部を切り取り、シャーレに移す。そこにものすご〜く薄めたツムグの骨髄液を投与した。
すると細胞のイキが良くなった。
初号機の細胞に対し、骨髄細胞が少なかったため骨髄細胞は燃え尽きるように消滅して、初号機の細胞だけが残された。
うまくいったとその研究者は心の中で小躍りし、ツムグの細胞を増量すれば初号機の細胞も増やせると思って増やそうとして、ふと手を止めた。
「……ゴジラのメルトダウンの時のデータってあるか?」
「なんで?」
「メルトダウンが鎮静化されたのは、椎堂ツムグが関わっているんだろう?」
「なるほど…。」
そう言って、デストロイヤの事件の時の資料が引き出された。
ゴジラのメルトダウン。
ゴジラの住処であるバース島の消滅の際に、その原因となった地下の天然ウランの影響で体内炉心の核エネルギーが不安定になったために起こったことである。
圧倒的な怪物と化したデストロイヤを圧倒するほどの力を発揮したが、体内から溶けて行くほどのエネルギーを暴走させあと一歩で核爆発か、メルトダウンによって地球が灼熱の星になるかもしれない危機が迫った。
これを防ぐために冷却兵器が使用されたが、防ぎきれずメルトダウンが始まってしまう。
ところが突然メルトダウンの症状は徐々に収まっていき、約数十時間で赤々とした熱を帯びていたゴジラの体は熱を失い、大量の放射能を吐きだしたものの核エネルギーの暴走は収まった。
その放射能もゴジラの再起動により再びゴジラに吸い込まれ当時の東京は放射能の汚染を逃れ
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