第二十話 ロボット競技大会
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観客席からああ〜っという声が上がった。その声色は、やっぱりかっという意味がこもっていた。
重量もまるで違うのか、突進を続けるものの機龍フィアは微動だにせず、ジェットアローンの足に接している地面ばかりが抉れていく。
「う〜ん、これはいかんな〜。」
『ツムグ〜、つまんない!』
操縦席で腕組をして唸っていたツムグに、ふぃあが文句を言った。
『もう壊しちゃってイイ? 壊しちゃってイイ!?』
「ダメ。あ〜、ここからどう盛り上げればいいのか困るな…。」
『もう壊したい、壊したイい!』
「ふぃあちゃん、我慢。壊しちゃダメ。…う〜ん。」
『もうヤダ! 壊す!』
「って、わーーー! ふぃあちゃんダメーー!」
『っ、アウッ。』
慌てて操縦桿を動かそうとした次の瞬間、ふぃあの短い悲鳴が上がった。
見ると、機龍フィアの顔が上にのけ反っていた。
下からジェットアローンのしなやかな腕が殴り上げたのである。しかも機龍フィアが頭を押さえていた手を弾いて。
これには、会場がシーンとなった。
数秒置いて、顔を戻した機龍フィアが弾かれた手とは逆の手をジェットアローンに振り下ろそうとしたら、ジェットアローンが、その場から動かず片手を鞭のように振るって弾き火花が散った。
これには観客席から歓声が上がり、立ち上がる者もいた。
「……へぇ…、中々。」
意外な攻撃にツムグは、素直に感嘆の声を漏らした。
『うぅ〜。なにコイツなにコイツ! 壊す、壊してヤるゥウゥ!』
「ふぃあちゃん落ち着いて!」
それでもふぃあは止まらず、機龍フィアの手がジェットアローンを捉えようと振り下ろされるが、また弾かれる。
なぜ弾かれるのか。
機龍フィアの機体の出力はパイロットとのシンクロ率によって左右される。
今、機龍フィアは、接続はしているもののツムグがシンクロに集中していないことと、ふぃあが独断で動いているため機体の出力が本来の半分くらいで止まっていた。だからジェットアローンは、振り下ろされる機龍フィアの腕を弾くことができるのである。なにせ腕力が半分くらいなのだから。
何度も機龍フィアの手を弾くジェットアローンに、観客席から歓声が上がり、応援する声が上がるようなった。
見た目からして圧倒的な差がある相手に果敢に挑むその姿に、VIP席の客もどよめくほどであった。
『うう〜、ううう〜、ツムグ〜、ちゃんとシンクロして〜! 力出ない!』
「力出したら瞬殺になるからダメ。でもそれにしても良い動きするなぁ。名前聞いた時に勝負にならないとか思って悪かったな。ごめん。」
ツムグが操縦席で両手を合わせて頭を下げた。
その時だった。
「時田さん、JAのOSが!」
「制
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