第十九話 シンジの告白とレイの気持ち
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るのを抑えるように手首を握った。
そして。
「綾波が好きだ。」
「……えっ?」
その言葉に、レイは顔を上げた。
シンジは俯いており、肩を震わせていた。
「…今の忘れて。」
「あっ。」
シンジは、早口でそう言うと、背中を向けて走り去ってしまった。
レイが伸ばした手は空を切った。
レイの足元に、ポタリッと水滴が落ちた。
「あ……、これ、なみだ? 泣いてるのは…、私?」
次々に目から溢れ出てくる涙に、レイは、驚いた。
「私…、私は…。」
涙を止めようと目をこするが、なかなか止まらない。
そうしてレイは、しばらく泣いた。
なぜ泣いているのかその理由がわからないまま。
***
「…っっっ!」
「……なに悶絶してやがるんだ。」
「いやぁ…、甘酸っぱい展開があったからさぁ…。」
ついには感涙までするので、手術着姿の研究者は呆れ返った。
「何が何だかさっぱりだ。」
「で、使えそう?」
「切り替え早いな。それについては無問題だ。…腹立たしいほど素晴らしい結果だ。」
今やっている作業と検査は、ツムグの骨髄細胞を抜いて、レイを人間にする実験に使えるかどうか調べることだった。
結果は、問題なし。
レイから採取した細胞に使用する実験が行われる予定だ。
「科学部的には、あの子のことどうしたいわけ?」
「それをおまえに言う必要があるんだ?」
「聞いてみただけだよ。
「他の連中がどう考えてるかは知らんが、おまえの体液で全身の細胞が作り変わった初の生きた症例として記録には残るんじゃないか?」
「あの子が人間として生きていくぶんには問題なしっぽい?」
「さぁな、そっちは専門外だからなんとも言えないが、隔離する理由がないんならそうなるんじゃないか?」
「そっか。」
ツムグは、手術台の上で寝返りを打った。
研究者から見えない位置で、笑った。
「…ひとつ気になることがあるとしたら…。」
「なになに?」
「あの少女は…、月経がないらしい。つまり子供が作れないということだ。おまえの細胞の投与が行われたらどうなるか分からんが。今のままだと将来的に支障が出るんじゃないか?」
「その点は問題ないと思うよ。」
「おまえがそう言うならそうなんだろうな。」
レイの体に、ツムグの細胞を投与する実験は着々と進んでいった。
「おーい、椎堂ツムグはいるかー?」
「はいはーい、いるよ〜、なに〜?」
「波川司令がお呼びだ。」
「分かった。ありがと。」
ツムグは、飛び起きるようにして手術台から降りて部屋から出て行った。
「なあ、聞いたか?」
「な
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