第十八話 BARDIEL その2
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常々バケモノだって思ってたけどよ…、改めてバケモノだって思い知ったって感じだぜ。」
「そうだな…。」
ツムグの監視ルームで、そんな会話が行われていた。
機龍フィアがドッグに収容された後、凄まじい高温に曝されていたツムグが操縦席から運び出された。
まずハッチを開けた時の、人肉が蒸し焼きされている時の悪臭が立ち込め、そして運び出されたツムグの有様に嘔吐する者達が続出。
骨までじっくり蒸し焼きされたというのに、半日もせずに全回復。
これをバケモノと言わずしてなんという。そんな話でもちきりだった。
ちなみにツムグが発見された当初から、彼の体を使った人体実験に立ち会ったことがある古参は、生きたまま数千度の熱で焼くという実験があったのを知っていたので蒸し焼きされてもすぐに回復したことについてあまり驚きはしなかった。
「うふふふ…、さすがです、痺れちゃいますぅ。」
「いやいや、ナッちゃん痺れちゃだめだよ。」
全裸のツムグがナツエに背中を拭いてもらっていた。
看護師のナツエは、ツムグの身の回りの世話などを任されている。
皮膚も肉もすべて再生したことで、スベスベになっており、ほんのり赤みを帯びた皮膚はまだ熱をもっている。
「まるでオーブンで焼かれる豚の丸焼きみたいな状態だったのに逆再生したビデオみたいに治っていくんですもの。すごいですよぉ。」
嬉しそうにツムグの体を拭きながら言ってくるナツエに、ツムグは微妙な顔をしていた。
「正直、あんまり嬉しくないかな…。」
「そうですかぁ? 不老不死って大昔からの永遠の憧れだと思うんですけどぉ。」
「俺は、不老不死じゃないよ。」
「またまた〜。」
「いつか死ぬよ。いつか、ね。」
ツムグは、そう言って微笑んだ。
ナツエに着替えを手伝ってもらったあと、ツムグは立ち上がった。
「どこか行くんですかぁ?」
「ちょっと、大事な話をしにね。」
「いってらっしゃ〜い。うふふ。」
「いってきまーす。」
ナツエに向かってひらひらと手を振り、ツムグは、その場から消えた。
『……なぜ止めない。』
「止めても止められないですよぉ。」
監視ルームからのツッコミに、ナツエは肩をすくめて答えた。
***
ツムグがテレポートした先には、尾崎と音無がいた。
「ツムグ! いいところに来たわね。」
「二人が俺のところに尋ねに来ると思ったから、手っ取り早くこっちから来たよ。」
「そうか。なら話は早いな。」
「あの子…、レイちゃんのことでしょ?」
ツムグがそう言うと、音無がジトッとツムグを睨んだ。
「やっぱり知ってたのね?」
「あの子が普通じゃないってことは、
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