第十七話 男の過ち
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ない。すべての命が赤い海に溶けるだけだ。一つになるだけだ。
だから安心してほしいと伝えたくても、今の彼女にそれを伝える術がない。
できることは我が子を神の使い達の名を架する者達から守り、我が子を導くことだ。
「助けて……、助けて助けて、お、ざき、さん…。」
体を丸めてグスグスと泣いて震えている我が子が助けを求める。
……………オザキって誰?
傍で守っている自分より、知らない誰かを求めているのが若干気に入らなかった。
***
尾崎の部隊と風間の部隊が別々の入り口から潜入し、ネルフの中枢にある作戦本部を目指して進んでいた。
風間を先頭にした風間のミュータント部隊は、立ちはだかった障害に足止めをされていた。
「ちくしょう!」
思わずついた言葉が電力節約でかなり暗い通路に響いた。
通路を進むことができないのだ。
進もうとすると見えない壁が発生して彼らを拒むのである。
「機龍フィアがゴジラに潰される前に中枢へ向かわないと!」
「分かってる!」
「これってひょっとしてATフィールドって奴じゃないですか!? 模様が似てます!」
「使徒がいるのか?」
「まさか! 使徒はゴジラに殲滅されたし、なぜ使徒がネルフを守るなんてことを?」
「どっちにしろこのままじゃ進めないことには変わらん。」
「使徒だとしたらツムグの体液が有効ですけど…。」
「誰か持ってるか?」
…誰も何も言わなかった。
「ちっ、こんなことになるなんて誰が想像するんだ。」
ATフィールドを貫通できるメーサー銃はあるが、ATフィールドを発生させている本体が見当たらない。
超能力で解析しようにも、ネルフの本部に仕掛けられた対ミュータントの仕掛けが働いていてうまくいかない。
手っ取り早いのが椎堂ツムグの体液をばら撒いてみることだ。
効果てきめんであることははっきりしている。
その時、カランコロンと何かが転がって来る音がした。
「! これは…。」
転がってきたのは、片手で持てるサイズの金属のカプセル。
「おい、誰かいるのか!」
後ろの通路の曲がり角からそれを投げたらしい人物は、すぐに姿を消した。
「少尉、これ椎堂ツムグの体液ですよ! なぜこれが。」
「誰だか知らんが今は感謝する。」
風間はそう言うと、ツムグの体液が詰まったカプセルを受け取り、スプレーの噴出口を取り付け、ATフィールドの方へ向けた。
放出された霧がATフィールド越え、暗い通路の先へ行った。
すると。
「ギャアァ!」
短い悲鳴が通路の先から聞こえた。
「人間の声?」
聞こえたのは
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