第十五話 体調管理は慎重に
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もないように見えた。どこか夢心地というか…、意識がはっきりしていないのか。
『夢を見てるんだよ。』
少年のような声が聞こえた。
『ゴジラさんは今、夢を見ているんだ。この海に溶けた生命の夢を。』
……“さん”?
ゴジラのことをそう呼ぶ奴は尾崎が知る限り一人しかいない。
しかし知っている人物にしては声が幼い気がする。
『ここは南極。ここでゴジラさんは知ったんだ。』
なにをっと声に出せないが聞こうとすると。
『セカンドインパクトのことを。あと何がこれから先起るのかを。』
そう語られた直後、ゴジラの目に怒りと憎悪の火がともり、ゴジラが吠えた。
尾崎が知るゴジラの鳴き声以上に大きく、殺意に満ちた凄まじい声だった。
『ゴジラさんはね、世界を救いたいわけじゃないんだ。ただ、許せないんだよ。』
ゴジラが戦うのは世界を救いたいからではないのだと語られる。
確かにゴジラについての歴史を振り返ると世界のために行動しているとは言い難い。怪獣と戦うのだって敵対するきっかけがあったからそうなったというわけだから、使徒を攻撃するのも何か理由があるのは間違いない。
これまで現れた使徒が直接ゴジラにちょっかいを出したとかで敵対心を煽ったわけではない。
南極で眠らされていたゴジラが、使徒アダムから発生したセカンドインパクトの破壊で叩き起こされて、そこから原因とサードインパクトのことを知ってしまったというダブルパンチで現在の状況になったということだった。
そりゃゴジラが怒り狂うはずだと尾崎は納得した。いや…、怒り狂うなんてもじゃないのかもしれない…。
尾崎がそう考えていると、ゴジラが海に沈んでいった。
力尽きて沈んだのではない。泳いでどこかで眠るのだろう。そして15年後の世界で目覚めるのだ。
『こんなことがあったんだから、ゴジラさんが許してくれるわけがないよね。』
それはそうだ。そうでなくても南極の氷の中に閉じ込められて眠らされているのだ、そこをあんな起こされ方をしたら許す許さないの問題じゃない。死ななかったゴジラがおかしいぐらいだ。
セカンドインパクトの大破壊でも死ななかったゴジラに、果たして自分達は勝てるのか?
そんな疑問が浮かんだ時、視界にノイズが走った。
それとともに意識が遠のいていくような感覚があり…。
『尾崎! 目ぇ覚ませ!』
その叫び声が聞こえた時、世界が白い光に包まれた。
***
「…うぅ…う……、ハッ!」
顔を歪めて呻いていた尾崎がカッと目を覚ました。
「こ、ここは?」
「目を覚ましたか!」
「熊坂士官…、俺は? 一体…。」
「……うぅ。」
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