第十五話 体調管理は慎重に
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かなりそうか?」
「やれるだけのことはやるよ。」
熊坂に聞かれ、ツムグは、肩をすくめた。
ツムグは、尾崎の傍に近寄ると、片手を伸ばした。
「いっ!」
しかし触れようとした直後、見えない何かに噛みつかれたように手首に傷ができ出血した。
「なっ!? おい、ツムグ!」
「だいじょうぶだいじょうぶ、傷は浅い。けど…、これ……。」
熊坂に心配されつつ、ツムグは、尾崎に触れようと噛まれた手を押し出す。
噛んでいる見えない何かが踏ん張っているのか、傷口がどんどん深くなり、力が入っているので腕が震えた。更にミシミシ、メリメリと見えない歯が食い込んでいく。全然傷は浅くない。
「……ちょっと目ぇつむって。」
「はっ?」
病室にいる人間達にそう警告すると、ツムグは、放射熱線を放った。
パンッと弾ける熱線の力が病室に衝撃波をもたらし、部屋のカーテンや布団などがはためいた。
熱線でツムグの手を噛んでいた何かがいなくなったのか、ツムグの手がようやく尾崎に触れた。
ツムグは、目をつむり、意識を集中させた。
***
視界が真っ暗になった。
何が起こったのか分からない。
目を開けているはずなのに何も見えない。
ただ、何かの気配が迫ってきているのを感じた。
巨大何かだ。
何かが迫って来るのだが、逃げられない。
逃げたくても体が動かない。
このままだと捕まると、分かっても動くことができない。
もう目の前まできている。
尾崎は何も見えない中、自分を捕えようとしている何かの衝撃に固く目をつむろうとした。
その直後、視界が突然破裂するような光で一杯になった。
視界に映る色が劇的に変化した。
目の前はどこまでも真っ赤だった。
果物や野菜のような赤さではなく、生命の中に流れる血のような赤さだ。
自分がその中を漂っているのが分かる。漂っているということは液体の中にいるということだろう。
だが不思議なことに息は苦しくなかった。
ここはどこだろうと思っていると、液体が大きく揺らいだ気がした。
下の方から何かが浮上してくる。
浮上してきたモノを見て、尾崎は叫びかけた。
ゴジラだった。
ゆっくりと尾崎の目の前を通り過ぎてゴジラが上へ上へと浮上していく。
すると視界が急に変わった。
真っ赤な海と思われる場所の中空に変わり、下を見ると、ゴジラがちょうど頭を出したところだった。
ゴジラは、動く様子がなく、頭の一部を出した状態でじっとしていた。
どれくらい時間が経っただろうか、ゴジラがゆっくりと目を開いた。
その目には何の感情
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