第十五話 体調管理は慎重に
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近頃、尾崎は夢見が悪かった。
「……。」
「大丈夫か、尾崎。」
「えっ? あ、いや…。」
「寝不足すか?」
「ああ、ちょっとな。」
「エキサイトっすか? 恋人さんと、アダッ!」
「アホなこと言うな、馬鹿。」
「アホ馬鹿って言うなっす!」
「ハハハっ…。はあ…。」
奇妙な夢を見る。
何か巨大なモノが迫ってくるような、それに捕まったらマズイと感じているから逃げようともがく。
迫って来るモノの正体は分からない。そこだけ黒くぼやけてはっきりと思い出せないのだ。ただ危険だというのは分かって、逃げるために夢から目覚めようと念じるため十分な睡眠がとれなくなってきていた。
日に日に距離を詰められているのも感じていた。
ついに最近では、自分を捕まえようとする相手の手の象が見えるようなった。全体像がはっきりと全部見えてしまったら…。
本能がそうなったらお終いだと囁いていて、ゾッとした。
「そういえば、風間って明日には帰って来るんだよな?」
「ああ、ロシアの基地の復旧の目途が立つからなぁ。」
「帰ってきたら一番に尾崎と手合わせだろうな。どっちに賭ける? って本当に大丈夫か尾崎?」
「顔色悪いっすよ。」
「だ、大丈夫だ。」
「ほんとかよ?」
「尾崎。…今日はもう上がれ。」
「えっ、でも…。」
「命令だ。倒れられたら元も子もない。」
「分かりました…。」
顔色の悪さで定時前に帰らされることになってしまった。
自分の部屋に戻った尾崎は、寝不足で重たい頭を押さえて、ベッドにすぐに横になった。
せめて少しでも熟睡して寝不足を解消しなければと思い、目を閉じた。
体が睡眠を欲しがっているのか、恐ろしい速さで眠りに落ちた尾崎を、部屋の隅にいる小さな子供の影のようなモノが見ていた。
***
『ネーネーネー。』
「なぁに?」
機龍フィアが収まっているドッグで、今日もツムグは、ふぃあと話をしていた。
ツムグは、操縦席でくつろぐ姿勢で座っている。
会話内容は外に漏れていない。
『外、イイ天気?』
「うん。いい天気。」
『毎日、ナツーっ』
「夏だね〜。セカンドインパクトからずっと夏だよ。」
『チキュウの軸ずれちゃったモンね。』
「そーだね。」
『アダ…。』
「ふぃあちゃん。それは内緒。」
『なんで?』
「俺がいいって言うまで内緒。いいね?」
『うん! 分かった! ツムグがイイって言うまで言わない!』
「いい子だ。」
『エヘヘ。ふぃあイイ子。』
「いい子いい子。」
『ワーイ!』
「……。」
ナツエもそうだが、自分に好意を寄
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