第十五話 体調管理は慎重に
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音が響いた。
キールは、手元にある書類の束をクルクルと巻いた。
その日のゼーレの会議は、会議どころじゃなくなった。
主に殺虫効果のある煙を炊くので忙しくって。
その後。
『秘密結社って言っても、ゴキには敏感なんだね? 意外。』っという一通のメール(出所不明)が届き、ゼーレは、会議そっちのけで少しの間犯人探しに奔走したが、犯人は見つかることはなかったという。
***
ゲンドウは、書類の束を前にして不機嫌丸出しの顔をしていた。
書類に記されているのは、尾崎に関する情報である。
自分の部下に収集された情報であるが、まあ、なんというか…ゲンドウには腹の立つ内容でこんな顔になっているのである。
一言で言い現わすと、『リア充』。
友達多いし、更に彼女までいるときたものだ。
周りから好かれる優男なのだから彼女がいても不思議ないのだろうが、いざ分かると腹が立つものである。ましてや、一方的に、ゲンドウが敵視しているのであるから尚更である。
これで相手の女が美人だったりしたら血管が切れるかも…っと少し思ったりしながら、尾崎の彼女らしき女の写真を見た。
そして吹いた。血管も切れて机に思いっきり額を打った。
科学者らしき清潔な白衣の下に自己主張をするような赤い服、邪魔にならないよう上でまとめられた髪の毛、強気な気性が見て取れる瞳と表情、整った目鼻立ちはモデルにいても不思議じゃない肢体と相まってまさに美人という言葉が合う。
白衣姿の若い女科学者と言う部分で一瞬ユイを重ねかけたが、気の強そうな眼差しは、ユイとはまるで正反対に思えた。
自立して生きようとする自他ともに厳しいタイプといえばいいのか。若い早熟の科学者でこの見た目だから周りから揶揄われることも多かろうはずだからそのせいでそういう風に振る舞っているのかもしれない。
はっきり言って、ゲンドウには苦手なタイプだ。美人なんだけど(大事なことなので)。
正義感のある好青年の尾崎と、美しく才気あふれる強気なこの女性が並んだら……。
そりゃもう、絵になること間違いなしであろう。
ゲンドウは、想像して机を殴った。
ブチッ
机を殴った時に、何かを潰した。
そこそこ固さがあり、そして潰した時に出て来たネバネバ……。
拳を上げないといけないのだが上げたくない。見たくない! だがこのまま触っていたくもない。
震える腕をゆっくりと持ち上げゲンドウが見た物は…。
加持がゲンドウのところに来た時、ゲンドウは不在で、探したら手洗い所で、狂ったように手洗いしているゲンドウがいたという。
***
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