第十三話 嵐の前の静けさ?
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ヒョコッと出て来たシンジは、レイの後ろにいる物体を見て腰を抜かした。
南極が消滅して、約15年。今や15歳ぐらいの少年少女は一度も見たことがない、超希少生物ペンギンである。
「ついて来るの…。」
「えっ? どういうこと? っていうか、なんの生き物?」
「あっ、そこの君達…。あー! いたいた!」
「クワー、クワー!」
そこへ白衣を着た男性が走っきて、何か聞きかけてレイの後ろにいるペンギンを見つけると、ペンギンの後ろに回り込んでペンギンを後ろから抱き上げた。
ペンギンは、鳴きながらジタバタと暴れた。
「こら暴れるな! ごめんねー。うちのペンペンが急にいなくなって探してたんだよ。」
「ぺんぺん?」
「この子の首輪に名前。」
言われてみると、『PEN2』と掘られた銀色のプレートのついた首輪が首に巻かれていた。
「ペンツー…、あ、だからペンペン? あの、これ、なんの生き物ですか?」
「あぁ、君達見たことないのか。ペンギンだよ、ペンギン。図鑑で見たことないかい? しかもこいつは、新種の温泉ペンギンっていってね、風呂が好きなのさ。ああ、こら!」
温泉ペンギンこと、ペンペンは、男性の手から逃げると、短い足で走り、レイの後ろに隠れてしまった。
「こら、戻ってきなさい!」
「クワー、クワクワ!」
ペンペンは、抗議するように片手をパタパタさせて激しく鳴いた。
「そんなにあいつのところに行くのが嫌か! 仕方ないだろ、俺来週には海外に赴任なんだからおまえのこと連れて行けないんだよ! 分かってくれよ!」
「クゥワーー!」
「すごく嫌がってる…。」
「嫌がってるわ。」
「頼むよ〜。あー、どうしたら…。」
「その子達に預けるって選択もありだよ?」
「うぎゃぁ! なぜにおまえがここにいるーー!?」
「誰ですか!?」
「!?」
「く、クワァァァァ!?」
いきなり現れた赤と金色の髪の毛の男に、全員が飛び上がった。
ペンペンに至ってはバイブのごとくガタガタ震えだした。
「そこの青い髪の子に懐いちゃってるし、無理に連れてっても逃げるよ? っていうか、そんなにビビらなくても。頭からバリバリ食べたりしないから、ね?」
「クワ…。」
「失神した!」
ペンペンは恐怖が突き抜けて泡を吹いて失神した。
「椎堂ツムグ! おまえは動物のいるところに来るなって上から言われてるのになぜ守らないー!?」
「人馴れしてるからいいかと思ったんだけど。」
ペンペンを介抱しながら白衣の男性は椎堂ツムグと呼ばれた男に怒鳴った。
「ネズミ100匹卒倒させた奴が何を言う!」
「100匹!?」
すっかり野生動物が少なくなってしまった今のご時世で、
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