第十三話 嵐の前の静けさ?
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使徒マトリエルの死体を回収し分析を行い、使徒の正体を突き止めようと科学部が頑張っているが、分かっていることは、すべての体機能をコアに依存した生命体であること、遺伝子構造が99.89パーセントまで人間と共通していることである。
二足歩行ならまだともかく、どう見てもザトウムシな見た目のマトリエルからなぜ100パーセントに限りなく近い遺伝が出てくるのか…、多くの科学者が頭を抱えた。
構造的に見て怪獣のそれよりも非常に優れた生命体で、イロウルのような微生物型という想像を超えた形態を持つモノすらいる始末である。
「…無理して立て続けに出てくるから間があくだろうな。ゴジラさんも、大怪我してるし…。ああ…、ゴジラさん。」
その場にズルズルとへたり込んで体を抱くように腕を回してツムグが溜息を吐いた途端…。
大きな音と建物が揺れる振動が来た。
『ツムグは、ふぃあのーーー!』
数枚の壁越しでも聞こえる大音量で、そんな子供の叫び声が聞こえてきた。
「……使徒が来ない間にこっちの問題をなんとかするのが吉だな。慕ってくれるのは嬉しいけど、独占欲(?)が強いのがちょっとなぁ。」
ツムグは、立ち上がり機龍フィアのところに戻ろうとした時、ふと立ち止まった。
「えっ…、嘘でしょ…。う〜ん、なんでこう問題って立て続けに起こるのかな? あとで教えとこ。」
頭に過った未来のビジョンに、ツムグは、額を抑えて唸った。
ツムグは、超能力系統の力が細胞のエネルギー量により凶悪レベルになっているため本人の意思に関係なく暴発しやすい。それゆえに盗聴、覗きが息をするようにできてしまう。未来予知だってできてしまう。聞きたくて聞いているわけではないし、見たくて見ているわけでもない、そういう誤解が……多少、あるのだが、本人は日常なのでその事実の裏返しでとぼけるのも普通になってしまっていた。
『G細胞完全適応者! どこにいるーーー!?』
機龍フィアの格納庫からの放送の呼び出しがきた。
「はいはーい、今から行きますよと。」
呼び出されたツムグは、軽い足取りで向かった。
このあと、二時間ちょっとほど機龍フィアを大人しくさせるのに苦戦。
「お疲れ様でぇす。」
「ナっちゃん。」
三十代そこそこの白衣の女性が小走りで近寄ってきたのでツムグが反応した。
ナっちゃん。ナツエというのだが、彼女はG細胞完全適応者であるツムグの監視役の一人の看護師で、ちょっと(?)マッド。
なぜかツムグにたいして好意をもってる変わり者である。
「ツムグさん、これどうぞ。うふふっ。」
「わー、ありがとう。」
ちょっと不気味に笑うナツエから差し入れとしてドーナツを受け取った。
「やっぱ甘いものは脳にいいね。
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