第十三話 嵐の前の静けさ?
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技術開発部と科学研究部の二つの部署は、困っていた。
理由は。
『ヤだヤだ! 触るな触るな!』
機龍フィアの自我意識に子供みたいに拒否されていたからだ。
子供みたい、というよりも、ホントに子供なのかもしれないが、コレは酷いっと技術者達や研究者達は頭をさえざるおえなかった。
自我意識が芽生えたからには、調べる必要があるので必要な事だからと説明して説得しようとしても聞き入れてもらえない。
無理やりやろうものなら、巨体を捻って振り落される。死人はギリギリで出なかった…。
結局ツムグでなければダメだという結論だ。
「いい加減言うこと聞きなさい。」
椅子に座って足をプラプラさせながら様子を見ていたツムグが、溜息を吐きながら言う。
『ヤだ、ヤだ! くすぐったいんだもん、くすぐったいんだもん!』
そう駄々をこねる機龍フィアの自我意識、自称“ふぃあ”。
子供のような高い声で、機械から発せられるせいか男なのか女なのか判別が困難な音程である。
しかも発音がところどころおかしい。
「同じ言葉を繰り返す癖があるなぁ…。精神年齢は、十歳以下かな?」
「データ量は防衛軍のスパコン並なはずなんだが…。なぜこんなに低いのか謎だよ。」
ツムグは隣にいた書類を片手に頭を押さえている技術者に話をふるとそういう答えが返ってきた。
「人格の年齢と知能は比例しないということではないのか?」
「しかしこのままでは正確なデータが取れない。なんとかしろ、ツムグ。」
「分かってるって。ふぃあちゃーん、くすぐったくっても我慢しよう。これ以上みんなを困らせないで、ねっ?」
椅子から立ち上がったツムグが機龍フィアに近寄って顔を指さして言った。
『うゥ〜。でもォ。』
「でもじゃない。このままだとふぃあのこと削除とか言われるよ?」
『ヤだ! それ、ヤだ!』
「だったらここにいる人達の言うこと聞きこと。くすぐったいのは慣れるから我慢しなきゃ。」
『う〜〜、分かった…。ツムグが言うなら言う通りにする。』
「いい子いい子。」
『ワ〜い。』
こうしてなんとかふぃあを大人しくさせることできたのである。
ふぃあの精神年齢は低いうえに、データ量の割に成長性も晩成型であるというのが現在の見解である。
『ねえねえ、ふぃあイイ子? ふぃあイイ子? イイ子してたら褒めてくれる?』
「うん。いい子だから首をこっちに向けないようにね。人が落ちちゃうから…。」
『ツムグ、見てる、見てる?』
「体こっちに向けちゃダメ! 周りが壊れるから!」
『ツムグ〜!』
「あとでいっぱいお喋りしてあげるから、今は静かに動かないように! お願いだから大人しくして!」
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