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ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)
第十二話  使徒の誤算
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 夢を通じて殺すことができる。
 尾崎は、ぐっと身構え、使徒をまっすぐ見据えた。
 使徒の意思は渦を巻いていたが、渦を巻く方向を変え、密集度を高めドリルのように鋭い形の渦を作るとその先端を尾崎に向けた。
 次の瞬間、目に見えないと例えれるような速度でドリルのようなそれが尾崎に突っ込んでいった。
 尾崎は、まったく無駄のない動きで跳躍し、難なく回避すると、右手を振りかぶって橙色の精神エネルギーを纏わせて使徒の意思に向かってその拳を叩きこんだ。
 ガラスが砕けるような大きな音と、橙色の光が花火のように広がった。
 少し間をおいて耳に刺すように大音量の甲高い悲鳴が木霊した。
 尾崎は着地し、使徒の意思を見た。使徒の意思は、尾崎の攻撃に混乱しているのかその粒々のほとんどが動きに法則性を失っている。量もさっきまでの半分ぐらいしかない。
 やがて混乱が治まってきたのか何とか統一性を取り戻した青白い光の粒が尾崎のいる方向とは逆方向へ動き出した。
 逃げようとしているらしい。
 しかし、尾崎は、根は優しいが、自分以外の大切な人達を守るという使命感の強い青年だ。ましてや相手が世界の滅亡に関わる使徒で、しかも現在進行形で機龍フィアを乗っ取って操り大きな危機を招いているのだ。逃がすわけにはいかない。
「負けるわけにはいかないんだ!」
 尾崎が気合と共にそう叫ぶと、尾崎の身体から橙色のオーラが放たれ、周囲に広がり、使徒の意思の行く手を遮った。
 逃げ道を塞がれ、甲高い鳴き声のような音を出した使徒の意思は、恐る恐るという様子で背後にいる尾崎を見るような動きをした。
「…お前達、使徒は、アダムのところに行きたいだけなんだから、俺達と敵対するつもりなんて本当はないのかもしれない……。けれど、俺達は、戦いを止めることはできない。お前達がアダムのところへ行ったら世界が終わってしまうというのが本当なら止めなきゃいけない。ゴジラもいるし、俺達は、負けられないんだ! 生き残るために!」
 尾崎は、右手の拳により一層強い橙色の光を纏わせ、使徒の意思に向かって拳を振った。
 放たれる強大な精神エネルギーによる攻撃。
 微生物のひとつひとつが使徒であるため倒すのが困難な現実じゃなく、それを統一するひとつの意思がいる夢の世界での直接の攻撃に、使徒イロウルは、更に大きな悲鳴を上げた。


 捨て身で機龍フィアを乗っ取った使徒イロウロの大誤算は、尾崎をただのミュータント兵士と侮り、夢の世界に引きずり込んで身も心も壊して喰おうとしたことであろう。


 ナノサイズの微生物の集まりであるイロウルの大本たる意思の方が大ダメージを受けたせいか、精巧に作られていた夢の世界が崩壊を始めた。
 ひび割れた空に赤と金色が混じった電
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