第十二話 使徒の誤算
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て払落しながら、尾崎は光の粒の包囲から脱出した。
竜巻のように渦を作っていた使徒は、その外へ逃げ出した尾崎を見おろすように動く。
尾崎は、身構えながら自分が今置かれている状況を確認した。
機龍フィアの首の後ろ辺りある、外付けリミッター解除装置を使おうとかなり近くまで接近できたまではよかったが、機龍フィアの装甲に擬態していた使徒に捕まって丸呑みにされてしまった。
丸呑みにされた後、窒息しそうになったが、使徒はなにを考えたのか夢の世界から攻撃をしかけ、夢の世界で殺そうとしてきた。
しかもなぜかツムグの過去っぽい映像。たぶん機龍フィアの操縦室に閉じ込められているツムグから得た情報を基にこの夢を作ったのだろう。
機龍フィアの表面に走る青白い光の筋と同色なので、目の前にいる光の粒々が使徒であることは間違いない。
今まで固形の形で出現してきた使徒だったが、この使徒は粒の一つ一つが使徒だというのを見抜いた。
つまりこれまでの使徒と違い、弱点のコアを潰せばそれで終わりじゃない。粒を残さずすべて消さないと倒せないということだ。
しかし…、尾崎は、むしろこの状況はチャンスだと考えた。
精神を直接攻撃は、対処法が分からなければそのままドツボにはまってお終いだ。
だが尾崎はその訓練をしているし、ミュータントでも特殊であったことから実験ついでにミュータントの能力がどこまで通用するのか、どんな応用ができるのかという個別訓練を行ったことがあった。
その実験&訓練とは、コンピュータなどの人工知能のプログラムに超能力で干渉し、超能力でプログラムを操るというものだ。
パスワードやセキュリティを強引に破り、自分が必要としているデータだけを引っ張り出して入手、脳を記憶媒体としてデータを運ぶ。
生体や無機物から情報を読み取りその情報を記憶できる超能力から、普通の人間より脳の記憶容量が大きいと判断されたことから始まった実験だったが結果は予想を遥かに上回るものだった。
ちなみに実践に使うかどうかはまだ検討中である。取り換えが利かない脳細胞に負担がかかるからだ。
それは置いといて、精神攻撃と電子プログラムに関わるその実験の検体として参加していた尾崎である。今この状況は恐らくであるが現実世界よりも圧倒的にこの使徒に対して有利な状況かもしれないのだ。
いくら無数の微生物の集まりからなる使徒とはいえ、それを統一している意思は一つであるはずだ。
ましてや今、ツムグの過去を再現したリアルな夢の世界を作り出し、そこから攻撃を仕掛ける大掛かりなことをやってきたのだから、微生物の集まりの使徒の意思に直接手を下すことが可能だ。仮に現実世界で何らかの保険をかけてあって大部分を失っても生き残れるようにしていてもだ
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