第十二話 使徒の誤算
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いるところがあり、よく分かんない変な奴で、機龍フィアの材料にしてその操縦者となる者が生まれてくる。
ブクブクと泡立っていた血が、勢いを増してボコボコと激しく泡立ち始めた。人間の大人よりも大きい瓦礫がグラグラと動き始めていた。
その激しい変化に、尾崎は思わず後退りした。
被災地の救助と捜索で、酷い死体は幾らでも見たし、その死体を回収することもした。あの時は吐き気とかそういうものなんかより、死体になってしまった者達が哀れで、救うことができなかったというショックの方が大きかった。
今目の前で生まれてこようとしている、奇妙な知人(?)の様は、それまで尾崎が感じたことがない強烈な吐き気と悪寒を湧きあがらせた。
そして、まるでそのタイミングを見計らったかのように、尾崎の体に、背中から衝撃が走った。
衝撃で思わず退けぞったため、ゆっくりと目線を後ろにやると、青白く光る捻じれた槍のようなものが背中に突き刺さっていた。
激痛と共に喉をせり上がってきた鉄の味を堪えながら、尾崎は咄嗟に、これは夢だ、幻だと己に言い聞かせた。
超能力の活用の訓練と同時にそれに対する耐性を養う訓練と、人体などの神秘についての勉強などで“病は気から”という言葉通り思い込みで肉体に外傷や毒や病にならなくても死亡すると教わり、一歩間違えば死に直行レベルの精神系の超能力の攻撃を受けて耐えたり退ける術を体で覚えさせられた(※能力の有無に個人差があるのでレベルの上限は人によっては違う)。
今いる場所が現実ではないと分かっているからこそ、ここで死んだとしたら現実の自分も死ぬと理解していたからこその対応だった。
これは夢だ現実じゃない!っと繰り返し強く念じ続けていると…。
ど派手なガラスが砕けるような音がして、尾崎がビクンッと反応してそちらを見た。
それと同時に背中に刺さっていた槍みたいなものも光の粒なって飛散し、尾崎の周りを漂いだした。
尾崎の視線の先には、中空に空いた穴から落ちてくる、椎堂ツムグがいた。
ツムグは、尾崎を見つけてギョッとした。
『尾崎ちゃんんん!? なんでここにぃぃぃい!?』
尾崎を指さしながら落ちていくツムグは、地面に接触した途端、地面が粉々に砕けて空いた暗闇の穴に吸い込まれるように落ちて消えてしまった。
尾崎は、ポカーンっとツムグが消えた場所を見つめていた。
なぜかは不明だが、尾崎がさっきまで刺されていた箇所も元通りに戻っていた。
「えっ、ツムグ? 一体、何が?」
何が何だかさっぱり分からんと尾崎は膝をついた。
そこにきて尾崎は、やっと自分の周りにある青白い光の粒に気付いた。
「なんなんだこれは!? まさか、使徒か!?」
自分に纏わりついていた光を体を振っ
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