第十一話 IREUL
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っている意識も睡眠後の世界に引きずり込まれようとしている。もし眠ってしまったら夢さえ見ない深い深い眠りに落されるだろう。
『操縦席がこれじゃ…、機龍フィアちゃんの方もやられてるってことだよな。ってかむしろ、機龍フィアの中に入り込んでなきゃこんなことできないし…。』
使徒がどうやって機龍フィアに取りついたのか、その過程をツムグは、思い浮かべた。
他の使徒に触る機会は、三度あった。
一回目は、イスラフェル。こいつ(こいつら?)は、機龍フィアを使って切り刻んだ後、コアをつぶして殲滅した。
二回目は、死んだマトリエルを基地に運ぶのを手伝った(吐血状態から復帰後)。
三回目は、ゴジラに焼き尽くされて空に粉塵となって舞ったサハクィエルの一部が風に乗って…。
『…まさか……。』
サハクィエルの部分で、ハッとツムグは気付いた。
使徒がどうやって機龍フィアに取りつき、今自分を抑え込むまでに至ったかを。
ツムグは、自分の推理が正しいかどうか確かめるため残っている脳機能をフル回転させて、遠くを見る力を使い、機龍フィアの両手を見た。
幽霊のようにだらりと垂れさせられた両掌には、機龍フィアの両掌の大きさに対して大きすぎず小さすぎもしない丸みのある塊のような物が張り付いている。死角になっていて地球防衛軍側はこの物体の確認が取れていないと見た。
更によくよく見ると機龍フィアの表面に走る青白い光がその部分から出たり入ったりしているように見える。
『あの双子(?)使徒のコアの粉塵と、超でっかい使徒の灰を触媒にして機龍フィアの中に瞬時に現れた…ってところか。ゴジラさんより弱いけど変な方向に規格外だな、使徒って! うっ…。やばっ…。』
ツムグが頭を抱えていると、ふいに強い睡魔が襲ってきて膝をついた。
精神の一部を外に出した今のツムグの状態を維持できなくなったのだ。
『アハ…ハハハ……。眠りにはちょっと弱いってのが…、こんな…とこ…ろ…で……、仇に……な…っ…た……。』
ゴジラは、ひとしきり暴れた時や、地球防衛軍や怪獣との対決などで怪我をした時は、住処に戻り深く眠る習性がある。その眠るという部分というか…貪欲というかそういうものがG細胞の変異の細胞を持つツムグにもある程度受け継がれてしまっていた。なので大きなダメージを受けた時は寝て過ごすことが多いし、眠ることが嫌いじゃない、むしろ好きなぐらいであった。それが今仇になり、使徒からもたらされる強制的な眠りに逆らえなくなってしまったのだ。
ざまあないっという表情を浮かべたツムグの精神の一部は、宙を仰ぐように首を動かして、やがて消えた。
機龍フィアの操縦室の機器が、ツムグの変化に反応して、まるでツムグに呼びかけるように機械音を鳴らし、光を点滅
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