第十話 ゴジラvs轟天号
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を射抜くのは難しい。喉の部分…つまり首すら貫通できなかったということは、ゴジラの分厚い胸板の奥にある一番大切な部分である心臓まで届く可能性も低いといえる。地底の地盤をいとも容易く砕いて掘り進めるドリルは、過去に絶対零度砲でカチカチに凍らせた怪獣を粉々に砕いて倒したことがあるから…、ゴジラの心臓を破壊するのは十分可能であろう。
問題があるとしたら、やはり近づきすぎることで撃墜されてしまう危険だ。
「しかし、艦長! ゴジラには体内熱線という手が!」
すかさず副艦長がゴジラの攻撃手段が口からの熱線だけじゃないことを指摘した。
「よく見ろ、ゴジラは呼吸さえできてない有様だ! 奴の息の根を止めるこのチャンスを逃せば次はいつ来るか分かったもんじゃない! 時間を置けば傷が塞がって終いだ! それとも…怖気づいたか!?」
「っ! いいえ!」
ゴードンとは戦いを共にしてきたベテランである副艦長はきっぱりと言って首を振った。
「てめーらも怖いか!? どーなんだ!?」
先ほどゴジラに捕まってあわや撃墜されそうになったが、尾崎の機転でなんとか逃れ、しかも今ゴジラを倒せる大チャンスとなったが、モニターに映ったゴジラの顔のアップと熱線を吐く瞬間の映像は船員達に恐怖という名の枷となっている。今度は自分からゴジラに接近しなければならないのだ、怪獣との戦いを知らない若い世代が占める船内に恐怖による緊張で息を飲む音が響く。
ミュータント部隊のエースの、実戦経験が浅い尾崎と風間も、頭ではゴードンの判断を理解してても、日々の訓練で抑え込むようにしている恐怖心が抑えきれず大粒の汗がダラダラと垂れ、手足が震えた。特に尾崎は、死の可能性から脳裏に日本にいる恋人の音無の顔が過っていた。
轟天号の船内が凄まじい緊張感に包まれていた、その時。
ガクンと船体が傾いた。
「どうした!?」
「動力回路3番と7番から火が! 消火装置起動しました! 飛行状態を保てません!」
「チィっ! 着水だ!」
「ラジャー!」
轟天号が受けたダメージは思っていた以上に大きかったらしく、動力炉と船体を繋ぐ回路が熱暴走で火災が発生し、飛行している船体を保てなくなってしまったのだ。
轟天号は、捲れた船体の装甲の隙間からモクモクと黒煙を出しながら海に着水した。
「火災の危険により安全装置が稼働中! 動力回路修復中!」
「修復を急げ!」
なにせすぐそこにゴジラがいるのだ。ここで攻撃されたら終わりだ。
ゴジラを倒すとか言ってる場合じゃななくなったその時だった。
緊張の空気が支配する中、それを破壊する音が響いた。
「きゅ…救難信号? ……そ、そんな…、っ!?」
「どうした!?」
「この信号は、機龍フィアからのもので
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