第十話 ゴジラvs轟天号
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ミュータント部隊の少尉をしている男だ。」
『カイザー(皇帝)…とは随分と大層な呼び名だな。』
「データによると、カイザーという個体の能力は、通常のミュータントを遥かに凌ぎ、その気になれば世界を支配下におくことも容易いとされている。いまだにその力の底が見えんとも言われる。セカンドインパクトの被災地の復興作業において、土壇場で限界だと思われていた範疇を越えたことをする場面が何度も確認された。尾崎という男の軟弱な精神が本来の力の開花を遅らせているという調査報告もある。そのような未知数の力を有する男ならば我々の動きを察知するのも容易いかもしれん。」
『なるほど。』
キールの言葉に、モノリス達も筋が通ると納得した。
キールは、尾崎を疑っているが…、残念ながら外れてる。
地球防衛軍側にばれているというのは、合っているようで合ってないような…。微妙なラインである。
なにせ姿を隠しているゼーレを見ていて、轟天号に邪魔をさせるよう働きかけた本当の犯人が、G細胞完全適応者である椎堂ツムグで、本人がゼーレのことを見つけて動きが見ていることを他の者に伝えていないのだ。つまりツムグだけに全部筒抜けになっていて、ツムグが他の者に教えていないから他の者達は知らないというのが正しい。
ゼーレが入手したデータには、ツムグの能力については記されておらず、そのためゼーレは尾崎の能力の高さにだけ目がいってしまったのだ。
しかしツムグの能力の規格外さは、G細胞の力も相まってカイザーの力など話にならないレベルだった。
データ化できなかった部分もあるし、発見されてから約40年間の間にありとあらゆる方法で調べられたデータがセカンドインパクトで一回ほとんど失われたのも大きいかもしれない。失われたデータの穴埋めのため再度調べられて地球防衛軍に新しいツムグに関するデータが作られたのだが、ゼーレが有するMAGIと技術では地球防衛軍のセキュリティを越えられなかったため入手できなかったのである。
「非常に遺憾だが、地球防衛軍どもにこれ以上好き勝手にさせるわけにはいかぬ。これより尾崎真一をマークし、隙を見て抹殺する。カイザーは、尾崎しかおらぬからこれで我々に向けられている彼奴等の目と耳は潰せるだろう。ゴジラの相手は、地球防衛軍どもにやらせればいい。我々は地球防衛軍どもがゴジラの相手をしている隙に、速やかに確実に人類補完の儀を執り行えるよう準備を進めればよい。」
こうして、勘違いしたままゼーレは、動き出すこととなる。
お通夜状態は最初だけで、尾崎を抹殺すると決めたあたりからゼーレは明るくなっていた。
この勘違いにより、尾崎の親友の風間を含むM機関の精鋭陣と、尾崎の恋人の音無と尾崎の上司のゴードン大佐を含めた地球防衛軍の主力達と、尾崎のこと
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